FE83スルーシステム

フルレンジを中域に使うのは案外難しい。
簡単に言うと中域の音の良いフルレンジが少ないのだ。
今はスピーカーの技術が進み、一部のマルチウエイは中域が大変良くなっている。
フルレンジでこれに勝とうと思えば、かなりハードルが高い。
ところが、マルチウエイの方はどうしてもネットワークの素子が入るから、ダイナミックレンジは抑えられ、コイルやコンデンサーの色付けが乗ってくる。
私がフルレンジに拘る理由はそこにある。
あくまでも「スルー」の良さ、、、、これは何物にも変えがたい。


私が過去使ってみて、そこそこ使えそうなユニットは、まずFE168Eシグマ。
メインスピーカーにも使っているが、磁気回路が強力な割にはそれほどハイ上がりではない。
フレームもしっかりしている。
能率はカタログ値よりかなり高めななので、ウーハーの選択には苦労した。
現在はラムサの能率99db、Fゼロ21Hzというものを使っている。
今のところこれに変わる中域は無い。
他につかえそうなものは、FE127E、83E、87E、TBの930SG、、、、、あと使ったことはないが107Eも使えそうだ。
ただしFEの7シリーズはもう製造中止である。


この中でも、良い意味でも悪い意味でも面白いのはFE83Eである。
FE83Eは、その前のバージョンの83の時代からさんざん使ったが、バスレフでは150Hz以下はほとんど出ない、共鳴管やバックロードには非力、ダブルバスレフでは低域が弱々しい、、、、、、耐入力が取れないので複数使うと音像がにじむ(最高片チャンネル6本まで使ったことがある)、、、、、FEシリーズにもかかわらず音は前に出てこない、、、、、、
これを逆手に取って中高域をそのまま生かし、ウーハーをプラスすると案外使えるのだ。
ただし、ローカットのコンデンサーは入れたくないので、耐入力は我慢する。


FE83E1発とFW100、あるいはFE127、FE83E2発とFW160、FE83E3発とFW200、あるいはエッジレス20センチ、FE83E4発とFW200を2発、、、、、その他何作作ったか覚えてないが、多分20作近く作ってのではないか?


今回たまたまFW200の中古のユニットをオークションで落札したので、何年かぶりにこの方式にチャレンジしてみた。
今回はFW200に対してFE83E2発とした。
FE83Eは3発でも良かったのだが、ウーハーのエンクローjジャ−をギリギリまで小さくしたかったのである。
ちなみに、ウーハーのエンクロージャーは20リットル強になっている。

中域にはネットワークを入れたくないので、出しっぱなし、、、、この場合FE83Eの低域は吸音材をうまく使い、早めに減衰させるが、入れすぎると音が詰まるので、この辺が難しい。
今回は新しい試みとして、中高域のエンクロージャーの天板の後半分を開放してみた。
もちろん、開けたままでは音にならないから、あとから布をかぶせて処理をする。
中高域は減衰させながら、低域は背圧を抜きたかったのである。










ウーハーのユニットの後ろは、いつものように御影石のレンガ状のもので支える。
これも私には当たり前のことだが、ユニットをいかに支えるかということはかなり重要である。
エンクロージャーの素材のやわなもの(紙やプラスチック類)、取り付けのやわなものは、私の耳は受け付けない。
御影石をマグネットに押し付け、前後から12ミリのボルトで締め上げる、、、ボルトは12ミリも必要ないかもしれないが、これは建築用の標準的なもので、日曜大工店では12ミリが安くて長さが色々あり使いやすいのだ。








ネットワークはウーハーには8mH,のコイルのみ、中高域はシリーズで基本的にスルーだが、超高域の相互干渉を避けるため、下の方のユニットに3マイクロのコンデンサーがパラってある。
クロスはおそらく200Hzj弱くらいになっていると思う。


仕上げは今回はバッフルのみ布張りとした。
布はベージュの落ち着いたもの、本体は塗装で「カーキ」色である。


さて、出て来た音は、、、、この方式は私の定番中の定番ともいうべき物で特に感動は無い。
私のいつもの音である。
中高域は細かいが、細かさだけで言えば、ディナやPMCのミッドレンジの方が上かもしれない。
ただ、このストレートさは魅力である。
ボーカルも自然だ。
一番の欠点は、FE83Eの一番下の部分、多分200〜500Hzあたりがわずかに弱いことだ。
でも、まあ、これも織り込み済みだ。
これはクロスの問題ではなく、FE83E本来の音の性質だ。

さて、出来てみてふと気付いたのだが、なぜ、今、FE83Eスルーのシステムを作ってしまったのか、、、、、
今回のシステムは特に頼まれ物ではなく、ほとんど実験的な意味合いも無い。

作ってみて気が付いた事といえば、「部屋が狭くなった」ことくtらいである。