マルチバスレフ

以前作ったFE127Eのトリプルバスレフは非常に可能性のあるシステムである。
いつかは追試したいと思っていた。

ところが、この方式はS氏という方が特許を提出されてことを知った。
多分、私とほぼ同じ時期に製作されている様だ。
私のトリプルバスレフと違うところは、S氏は長岡さんと同じく、外側のダクトの共振を低く取られていることである。
興味を持ってメールを差し上げると、丁重な返事を頂いた。
それ以来、たまにメールでやり取りさせて頂いている。(トップページのリンクの「達人」がS氏である)
S氏のことを私は密かに「達人」と呼ばせて頂いているが、「達人」によると副空気室はいくつでも良いらしい。
また、「達人」はこの方式の計算式を考案されている。
その計算式は積分を使うらしい。(2月3日に豆をまくこと、、、、、、そら節分やろ!)
とても及ぶところではない。

この方式のことを色々考えているうち、面白いアイディアを思い付いた。
ダクトの前に小さなホーンを設け、低域の後ろへの回りこみを最小にすることである。

出来るだけ低域を欲張りたかったので主空気室1つに対し、副空気室を4つ持つバスレフを考えた。(フィフスバスレフ??)
ユニットはもうこれしかないと言うほどの定番FE103Enである。
Enタイプは初めて使うが、FEシリーズは「幼なじみ」のようなものである。



さて設計であるが、1つの空気室を約5リットルとして、合計25リットル、、、、10センチユニットにしてはかなり大きい。
副空気室の共振周波数は、一応計算上は104Hz・80Hz・65Hz・52Hz、主空気室の共振周波数は計算方法が良く解らないが、すべて合算した内容積で計算すると42Hzとなっている。

全体の形は長岡さんのCW(コンスタントワイズ)タイプのバックロードホーンと良く似ている。
幅17センチ・高さ約80センチ・奥行き役40センチとなっている。



ダクトは内径4センチの塩ビパイプを使った。
主空気室と副空気室を繋ぐダクトは約23センチだが、これが4本付くので、それだけでも、パイプが片チャンネル1メートル近く必要だ。



副空気室のダクトはそれぞれ写真のように長さが異なっている。
この先にホーンが付く。



ホーンの後には例によって園芸用の石が入れてある。



私の設計らしく、ユニットの後から後板までツーバイフォーで突っ張っている。
バッフルは今回は8ミリの爪付きナットで留めている。
バッフルの仕上げはブチルで布を張り込んである。



完成してみると見かけはまあまあである。(誰も言わないから自分で言っておこう)



さて、出て来た音であるが、、、、、、、、、、、言いたくないが、、、、、、
思った以上に低域が出ない。
この箱でこの低域とは、、、、何のためのフィフスバスレフなのか良く解らない。
もともと低域の出にくいユニットではあるが、、、、、、

失敗の原因の一番大きな部分はユニットだ。
FE103Enは予想以上に使いにくいユニットである。

次に肝心のホーンがうまく効いていない。
かえって低域をこもらせている様だ。
これは多分ホーンの形状の問題だと思う。

あと、細かい点で言えば、主空気室のユニットのツッパリが、副空気室へ行く音を詰まらせているようだ。
また、このツッパリのおかげで吸音処理が非常にしにくい。
入れすぎると低域が出ないし、入れなさ過ぎると音が甲高くなる。


ちなみにユニットを手持ちのTBにしてみるとかなりバランスが良くなる。
ただし、音の細やかさでは段違いにFE103Enの方が良いような気がする。
この辺が難しいところである。




今回制作に当たって、「達人」に、「音が良ければオークションに出しても良いですか?」などとあらかじめことわっておいたのだが、快くご承諾頂いた達人には申し訳ないが、この傍若無人の発言は私の中では消去された。