ひとりごと


オーディオマニアという不可思議な人種について

これだけ長くオーディオをやっていながら、オーディオマニアの友人は少ない。
肌が合わないのだ。
オーディオマニアの人は、みんなそれぞれがお山の大将だと思っているから始末が悪い。
でもそれは他の趣味でも一緒かもしれない。
始末が悪いのは、オーディオは定量的な尺度がないことだ。
スポーツの様に試合でけりを付けるとかいうことが出来ない。
にもかかわらず、人のうちに行ったりすると、「低域が不足ですね」とか「定位が悪いですね」などという失礼な事を平気で言う。
初対面の人にも平気で言う。
通常の人間関係なら、最初は当たり障りのない話をして、何回か会っているうちにお互いのことが少しずつ理解出来て、相手の欠点をやんわりと指摘するのはそのあとである。
これが出来ない人が非常に多い。
多分そうなるのは、どこかで「自分は良い音を出している」と思い込んでいるからだろう。
でも、実は相手もそう思っているのだ。
そこで非常に気まずい空気が流れることになる。
困ったものである。

まず、自分と他人はシチュエーションが違うということを理解する。
聴く音楽も、音量も、環境も違うのだ。
そのことを理解した上で、先に相手の良い点をほめる。
やんわり指摘するのはその後の話である。

(余談)
「ひとりごと」の最初にこの話を書いたのは、実は私も若い頃はこれが出来なかったのである。
おかげで、貴重な友人と仲たがいしたこともあった。
この文章はそんな自分への反省を込めている。





コーナンPRO

私の住んでいる地域に「コーナン」と言うホームセンターがある。
あちらこちらに何十店舗もあるから、かなり大きなチェーン店である。
昔はホームセンターなどはなく、合板は建材店で道具は金物屋で買っていたから、ずいぶんと便利になったものである。
最近になって、この「コーナン」にプロ用専門の店が出来始めた。
それが「コーナンPRO」である。
この「コーナンPRO」へ行くと、板材も通常のホームセンターにはないものが置いてあり、道具も日曜大工用と一線を画するごついものを売っている。

話は変わるが、私事だが最近になって職場が変わり、生まれて初めて週休二日制になった。
(いや正確には月に一度午後2時までの当番出勤があるのだが、、、)
それまでは、土曜日も含めて毎日夜11時12時まで仕事をしていたから、まさに夢のような話である。
最初のうちは、金曜日の夜に明日が休みだと思うとわくわくしてよく眠れなかった。
(遠足の前の小学生か?)
そんなときに布団に入って悶々としていると、なぜかオーディオの良いアイディアが浮かんでくるのだ。
翌朝6時頃目が覚めると一目散に「コーナンPRO」へ向かう。
通常の日曜大工店はせいぜい朝9時からだが、「コーナンPRO」はプロ用の店のため朝7時からやっている。
朝7時に「コーナンPRO」へ行くと、作業着を着た本職の方が、ブロックを積んだり、砂を買ったり、板材を何十枚と台車に乗せている。
そんな中で、板の切れ端を持って「すみませ〜ん、カットして下さい」などと言っているのは私くらいである。
多分、職人さんたちにとってはかなり場違いに写っているに違いない。





使って頂いているスピーカーについて

過去ご縁があって色々な方にスピーカーを使って頂いているが、実はあまり聴きに行った事はない。
何かわざわざ行くのもどうかと思うし、相手の方にプレッシャーに感じられても気の毒だ。
それにもう私の手を離れたものだから、純粋に楽しんで頂ければ良いし、気に入らなくて使われなくなっていたり、手を加えられていても、それはそれで良いと思う。

実はこの度、私のスピーカを使って頂いている方を訪問させて頂いたのだが、そこは「雑貨屋さん兼喫茶店」なので、営業されている時間帯にお客さんとして行ってみた。
幸い人づてにもらって頂いたので、お店に行くのは初めてだし、お店のご主人とは面識がない。

自宅から電車で乗り換えて約1時間半、駅からは地図で見るとそうでもなかったが、歩いたら30分くらいかかった。
そのお店は静かな田園地帯にあった。
お店は1階と2階に別れており、1階になかったので2階に上がってみると、私のスピーカーが置かれていた。
スピーカーは、多分お客さんがいたずらしたのか一部センターキャップが壊れたりしていたが、ちゃんと鳴っていた。
行く時は、確認したらそのまま帰ろうかと思っていたが、結局嬉しくなってご主人に自己紹介してしまった。(この文章の前振りは何やねん)
少しだけ話をさせて頂くと、お客さんで興味をもたれた方が何人かいらっしゃったとか、、、ありがたいことである。
私はアマチュアだし、喜んで使って頂ければ何よりだ。
何年かぶりに、自分のスピーカーと再会したが、音は紛れもなく私の音であった。










「歌を忘れたカナリア」論

昔「歌を忘れたカナリア」論というのがあった。
ここのところのボケのせいで、正確にこういう名前だったのかもう30年以上も前のことなので定かではないが、だいたいの論旨は次のようなものだったと思う。

童謡に「歌を忘れたカナリア」というのがある。
若い人は知らないと思うが、「歌を忘れたカナリアは後ろの山に捨てましょか〜」という歌詞である。
これに引っ掛けて、オーディオ装置は立派でもソースの少ない人を皮肉ったもので、「オーディオは音楽を聴く道具だから、ソースにもお金を掛けろ」というのである。
実際オーディオ誌でも、システムの何割くらいをソースに掛けるのが良いかなどという発言もあった。
当時、私はこれには閉口した。
口の悪い友人が「スピーカーばかり作ってないで、レコードを買え」というのである。
高校生の頃はシステムは何とか手に入れたものの、レコードを買うお金がなかったので、エアチェック(今は死語になったがFMから録音すること)なんかしていたし、大学生になったらバイト代は学費とスピーカユニット代に消えた。
ようやくソースにお金が行くようになったのは、社会人になり、ジャズの復刻版などを「大人買い」するようになってからである。

これに対し、今となってははっきりと「スピーカー作りが好きやねん」と言えるが、当時はここのところが自分でうまく整理出来ていなかったのである。
「手段が目的になるのが趣味である」と言ったのは確か長岡さんだったと思うが、オーディオを「音楽を聴く道具」と考えたら「レコードを買え」と言った友人の言葉は正論であったかもしれないが、私の中では「音楽を聴く」のと「自分の求める理想のスピーカーを作る」というのはまったく別の趣味なのだ。
また、今となっては「自分の求める理想のスピーカーを作る」ことと「作ることを楽しむ」ことも、別の趣味になりつつある。





物量の果て

自作オーディオを長くやっていると、どうしても「物量」を掛けたくなる。
まずはスピーカーの板厚であるが、コンパネ(12ミリ)から15ミリ、21ミリ、24ミリとだんだん厚くなる。
24ミリ以上の板はなかなか手に入らないからその次は2枚重ねで48ミリまでいった。
また内部の補強であるが、これもバッフルと後板、側坂同士、天板底版と縦横無尽に入っていった。

重量についてもしかりである。
一番ばかばかしかったのは、アナログプレーヤーの置き台を作ったときで、プレーヤーの乗る板とその下の板の間に砂を詰め込んで鳴きを止める構造にした。
砂は乾燥させる必要があるというので、フライパンでちまちまと乾燥させ、やっとの思いで砂を詰めたが、詰め終わると重くて動かせなかった。

他にもスピーカーの側板を二重にして間にコンクリートを流し込んだり、コンクリート詰めのアナログプレーヤーを作ったり、もちろんアンプの上に鉛を乗っけたりもした。

スピーカーもだんだん大きくなった。
一番大きかったのは高さ180センチ奥行き45センチ幅70センチ、これを3階のリスニングルームに上げるのに、3パートに分かれるように設計し、最後は部屋で組み立てた。
JBLの38センチバーチカルツインである。

今から思えば作った時でもかなりの重量であったが、さらに後から補強を加え、ユニットを支えるのにジャッキまで組み込んだ。
このスピーカーはかなり長く使っていたが、ある日スピーカーを倒して吸音材か何かを調整し、いざ立てようと思うと重くて立てられない。
体調が悪かったせいもあったと思うが、スピーカーの下に体を入れたままにっちもさっちもいかなくなった。
そのうち手は震えてくるワ、冷や汗は出てくるワ、最後は幼い時の思い出が走馬灯のように浮かんできた。(多分幽体離脱しかけてたと思う、、、、)
このとき以来、「物量」もほどほどにするようになった。
それまでは、いかに「物量」を掛けるかの戦いであったが、それ以降は、いかに掛けたい「物量」を我慢するかの戦いになった。





アナログと真空管

私の友人達もそろそろそういう歳になって来たのか、オーディオを再開する人間が多くなった。
そういった友人達の何人かは、CDの端整だが面白みに欠ける音に飽き足らず、アナログとか真空管アンプを使っている。
私自身は、CDの音が特に面白みに欠けるとは思わないが、アナログや真空管アンプには、独特の情緒感があることは否定しない。

私はメインソースにアナログを使おうとか、メインシステムに真空管アンプを使おうとかは思わないが、今サブCDの方がほとんど遊んでいるので、ここに真空管バッファアンプを入れることを思いついた。
このサブCDは、ドライブがメインと同じソニーのピックアップ固定で、さらにそこそこのDACも使っているので、何のことはない、メインCDと大差ない音になっている。
そのせいで、普段サブCDを使うことがほとんどない。
せっかくサブCDを使うなら、サブCDにしか出せない音を出そうと思った。
情報量とかよりも、ボーカルの生々しさを出すようなシステムにしたい。

そこでオークションで真空管式のDACか真空管バッファアンプを物色しているうち、運良く真空管式バッファアンプを落札出来た。
使ってみると、思った以上にクリティカルだ。
ありあわせのピンケーブルでは、ピンケーブルが足を引っ張ってしまう。
脚もゴム脚からTAOCに換えてみたが、もうひとつだった。
まだまだ使いこなしには時間が掛かりそうだが、生まれて初めて使う真空管アンプに少しウキウキしている。
球も色々試してみたい。
そして一度で良いから「**球はジャズ向きだが、**球はクラシックが良いネ」などと言ってみたい。(どういう願望やねん)
そうだ。
まず、お友達の杉本さんに買ったことを報告しよう。
と思っていたら、先に杉本さんからメールが来た。
「トーレンスのアナログプレーヤーを買いました」
ブルータスお前もか、、、、(何のこっちゃ)










ないものねだりの子守唄

オーディオは所詮はないものねだりの世界である。
たとえば、ヨーロッパ製のよく出来たコンパクト2ウエイを聴くと、「スペースファクターが良くっていいなあ〜」と思うが、38センチウーハーを聴くと「やはりオーディオは物量だ」と思う。
クラシックにチューニングされたシステムを聴くと「嫌な音が全く出ない」のでリラックス出来るが、「ジャズにチューニングされたシステムを聴くと、エネルギー感があって良いと思う。
アナログを聴くと「ボーカルが生々しい」と思うが、CDを聴くと「正確な音」に聴こえる。

私は長い間様々なスピーカーを聴いて、ツイーターは良く出来たドーム型が一番良いと思っていた。
現在メインスピーカーのツイーターはディナウディオの330Dである。
少し艶がありすぎる気もするが、音色、伸びやかさ、空間感とも絶品である。
もうツイーターに関しては「これしかない」と思っていたが、たまたま友人がフォステクスの925を貸してくれた。
よく使い込んだホーン型のユニットである。
能率が高いのでクロスに戸惑ったが、これがなかなか良い。
特にジャズを聴く時は、「シンバルはホーンかなあ〜」と思ってしまう。
一方、クラシックは何と言ってもドームだ。
漂うような雰囲気がたまらない。

という訳で、無理を言ってしばらく使わせてもらうことにした。
ツイーターなので中域のエンクロージャーの上において簡単につなぎ替えられる。
しばらくドームを聴くとまたホーンを聴き、ホーンを聴いていてまたドームにつなぎ替えたり、、、
どっちが良いか決められませ〜ん〜
オーディオとは多分そういうものなのである。








毒を食らわば「美音」まで

サブCDの方に真空管バッファを入れたが、これがなかなか難物である。
もともとサブCDのほうは少し派手目に調整してある。
特にこの音を作っているのはハーモニクスのコンバーターである。
うまく使えばこの張り出しのある音は魅力がある。
そこへ無理やり真空管を入れたものだから、「張り出しを残しつつ暖かみのある音」、、、にはならなかった。
低域などは真空管のせいでやわらかいのに、中高域は突っ張ってくる。
そこで毒を食らわば皿までと、徹底的に調整することにした。

まずはインシュレーターである。
CDプレーヤーのコーリアンを取り外し、木製の箱を作り、水槽用の五色石を敷き詰め底板を直置きにする。
これでかなり音が静かになった。
この方法は過去に何度もやっているが、CDプレーヤーにしか効果が少ないことと、水槽用の石の種類によって音が変わるので一種の音作りのようなものであまりお勧めはしないが、底板の鳴きは少なくなると思う。
次に電源コードとデジタルコードを手持ちのメーカー製高級コードに換える。
私は今はあまりメーカー製の高級(といっても何十万円もするものではなく数万円のものだが)コードは買わないが、それには理由がある。(もちろん金銭的な問題が大、大、大、、ではあるが、、、、)
確かに下手な安物のコードは音がきつくなったり曇ったりする。
これに対し良く出来た高級コードは、もちろん物にもよるが、嫌な音は出してこないし、情報量も結構ある。
ただ私の耳には、ここ一番の伸びに欠け、少しだけ音がにじんだりして聴こえる。
つまり非常に「美しい音」になるのだ。
生まれつき人間が美しくない私には、どうしても性が合わない。
そこで、少々オーバーシュート気味でも穿り返してくるようなものに惹かれるのだが、この際そんなことも言ってられない。
それにサブCDという気楽さもある。

というわけでさんざん試行錯誤してやっとそこそこの音が出るようになった。
非常に艶のある「美しい音」である。
特にボーカルは良い。耳元でささやくような良さがある。

しかしそれにしても、、、、、自分らしくないとも思うが、、、、、まあいっか。








CDドライブについて


CDが初めて出回ったとき、「これは、、、、」と思った。
良い意味ではなく悪い意味である。
音が硬く、ボーカルに血が通っていない。
その頃の私のアナログプレーヤーは、樫木の天板にコンクリート詰め、アームもとっかえひっかえ、3本も付いたものだったから、今から思えば気合の入り方が違うのだが、それにしてもCDの音はあまり良いとは思わなかった。
私がCDを使い出したのは仲間内でも一番最後の方だった。

そんな私も使い出すと、その便利さにはかなわなかった。
何しろ、かける前にクリーニングしなくて良い。
少々放り投げても傷は付かない。
ディスクの保管も適当で良い。
悔しいが、ぶきっちょでものぐさな私にはぴったりだった。

そこで、CDの音を何とかしようと色々試みた。
目を付けたのはドライブユニットだった。
当時のドライブユニットは百花繚乱、スイングアームあり、VRDSあり、ベルトドライブあり、ピックアップ固定あり、ターンテーブルあり、、、、、
その中でも、私はVRDS、ベルト、ピックアップ固定の三方式をメインとして使っていた。
おまけに、それぞれクロックを精度の高いものに換え、ゴムのサスペンションをすべてリジットにしていた。
そうして解ったことは、VRDSはその構造からか、若干硬く、わずかに金属っぽい音が乗る。
多分これは当時のVRDSがまだアルミや真鍮を使っていたからだと思う。
ベルトは刺激音が出ない非常にゆったりした音になる。
これはこれで独特の音だ。
ピックアップ固定はベースをステンレスに換え、さらにそのステンレスを1センチ暑さの真鍮板で支えている。
ベースのねじ止めのところは制振ワッシャーが挟んである。
ここまでやると、かなり鳴きの少ない音になった。
何のことはない。
すべて、構造の振動音が乗っているのだ。
多分技術者の方はデジタルだからそんなことはありえないと言われるだろう。
だが、技術的にはありえなくても、天下御免の無法者の私にはありえるのだ。
多分、今のVRDSはその辺のところはもっと良くなっていると思う。


話は変わるが、以前ソニーのディスクマンが音が良いと言うので使ってみたことがある。
それもメカをリジットに固定し、クロックを高精度のものに換えたものである。
ディスクマンのクロック交換は無理を言って相島技研さんにやって頂いた。
当時は気に入ってしばらく使っていたが、いつの間にか使わなくなっていた。
これを取り出して久々に聴いてみると、確かにある種の正確さはあるが少し線が細く音が軽いように思う。
そこで、ディスクマンをメカごとコーリアンボードにリジットに固定し、また相島技研さんに無理にお願いし、デジタルアウトを出して頂いた。
(相島技研さん、たびたび無理を言ってご容赦下さい)
このデジタルアウトの音がなかなか良い。
少なくとも昔のVRDSやベルトよりも固有音が少ない。
ピックアップ固定と比べると、ピックアップ固定が音楽のテンションが高いのに対し、音の自然さではディスクマンの方が優れていると思う。
考えれば、ディスクマンは金属部分がほとんどなく、鳴きが少ないことが良いのではないか?
それと電池で駆動しているので、AC電源のノイズの問題もない。
さらに昔は金田式アンプ同様マンガン電池を使っていたが、今の充電池はそれよりはるかに音が優れている。


もうソニーのピックアップ固定方式も、ピックアップそのものの交換用在庫がないらしい。
ということは、ドライブはこれから先も何年かに一回は機種交換が必要であると言うことだ。
ソニーがダウンした場合、ディスクマンで充分代用出来ると思う。








DACについて

DAC(デジタルオーディオコンバーター)についても、過去には色々使っていた。
一番最初に買ったのはワディア64だった。
これは演算式のもので、確か定価100万円くらいしたと思う。(今から思えばどこにこんなお金があったものか、、、)
音は今のワディアと違い、はっきりくっきりというより、むしろ高域に広がりのある、ある意味ではよく空間感の出る音だった。
今でも思うのだが、よく出来た演算式のものは(たとえばパイオニアのレガートリンクなど)、独特の空間感がある。
ただしこれが本物の空間感なのかは良く解らない。
また、友人が持っていた同時期のワディア32は割りと押し出しの強い音だったと思う。

次はハーモニクスの「霊妙」だ。
これはビクターのK2インターフェイスを使っているそうだが、こちらは情報量が多いのは良いとしても、高域が切れ込んでくる少し派手目の音だった。
しかしその頃は電源タップまでの距離の関係で「霊妙」に自作の電源ケーブルを使っていたが、最近になって改めてハーモニクスの電源ケーブルを使ってみると、どうもこれは一体となって音作りしているようで、かなりバランスは良くなった。
脚はハーモニクス独特の凝ったものだったが(ピンタイプの4点支持)、これは自作の脚の方が音に落ち着きが出る。
「霊妙」は、ちょっと人工的だが、「明るめの美音」という感じかな。

さらに、最近メインとして使っているのはインフラノイズである。(社名変わったっけ?)
初めて聴いたときはあっけないくらいで、拍子抜けしたが、よく聴くと、かなり静かで癖の少ない音である。
多分、接続する他の機器が特徴のある音作りをしていると、このコンバーターはどこが良いのかさっぱり解らないと思う。


そこでやめておけば良かったが、そうならないのがオーディオである。
最近ネットで「ケンウッドのCDプレーヤーの7002がDACを8パラにしていて、コンバーターとしても使えるようにデジタルインが付いている。これがなかなか良い。」というのを目にした。
そこで、止めれば良いのに、オークションで入手してみた。
手元に来てみると、やはり価格並みで、シャーシなどは派手に鳴りまくる。
電源コードも直出しのお粗末なものだ。
そこで、シャーシを開け、接点にはカーボンダイヤトニックを塗り、基盤に制振ワッシーヤー挟み、電源ケーブルをオヤイデのPA−22に交換、さらに全体を「ロ」の字型の合板で囲み、合板とシャーシの間にフェルトと電磁波防止シート挟んでダンプし、振動を抑えると共に電磁波もカットしてみた。
さて、出て来た音は、、、、、、
よく言えばハードでシャープでダイナミックだが、、、、、、、
昔NECのCD−10もこんな音だった様な気がするが、、、、、、、
確か「95パーセント再生よりは105パーセント再生を目指す」と言ったのは長岡さんだったかどうだったか忘れたが、この音は120パーセントくらい行っているんじゃないかと思う。
付帯音が多いせいか楽器の質感が違って聴こえる。
多分クラシックを聴く人には難しいだろう。
ロックとかエネルギーで押しまくる様な音楽には合っているかも知れない。


それにしても、DAコンバーターを3台も持っていながら、何故にその上ケンウッドなのか、、、
それが自分でも良く解らない。
スポーツなどで勝つまで何度でも戦うというのは聞いた事があるが、これでは負けるまで何度でも戦っているような気がするのは気のせいかどうだか、、、?







DACリベンジ

臥薪嘗胆、鞍馬山に篭ること十数年、ついに平氏の悪逆非道に正義の鉄槌が下る時がきた。(何でそんなにたいそうやねん)
前回のケンウッドのCDプレーヤーには落胆した。
やはり、オーディオは聴いてみないと解らない。
そこで、リベンジ。
またまたオークションで新しいDACを物色した。
そして、手に入れたのが逸品中の逸品、47研究所のDACをさらにサウンドデンが手を加えたというもので、今のお小遣いオーディオの私にしては死ぬほど高価だったが、落札した。(結婚前から持っている秘密の通帳の残が、、、、、)

47研究所のDACには前から興味を持っていた。
部品点数わずか二十点あまり。
アナログ変換後は、フィルターもなければ何もない。
そこへまた、クロック交換でお世話になっている広島のサウンドデンが、配線を銀線に交換し、電源を乾電池駆動にした。
他に類を見ないほどシンプル。
AC電源の悪影響一切なし。
ある意味で『原器』とも言えるが、果たしてそれは本当のCDの音なのか、、、、?

届いた製品を見て驚いた。
まず、パイロットランプがない。
電源が入っているかどうか、さっぱり解らん。
さらに出品者からの一言、「電池の入れ方が斜めになっていると、接触不良を起こします」
ううう、、、、
さて、設置してみようと思うと、本体の底板が三日月というか、アーチの様になっている。



多分これを下にして置いて、線接触で支えるんだろうなあ〜
しかし、そうすると、デジタルケーブルとRCAケーブルが真上に刺さるので、使いにくいこと、この上ない。
結局寝かせて、ケーブルが後ろ向きに出るように置いた。

電源部分は、出品者が新品の電池を入れておいてくれたので、まだ開けていない。
というか、電池ケースの蓋が木ネジで止まっているが、開け閉めしている間に馬鹿にならないだろうか、、、

いろんな意味で確かに逸品だが、商品としてはどうよ?
、、、という思いはぐっと堪えて、試聴した。

これがフィルターなしの「本当のCDの音」なのかどうかは解らない。
情報量は抜群、インフラノイズのDAC−1と遜色ない。
電池式ということで一番心配していた低域の量感も不足はない。
AC電源ではないのでS/Nもすばらしい。
では、最高なのかというとそうではない。
しいて言えば、「実験室の音」と言えるだろうか?
「酸素と水素を反応させれば水になる」が、そこにドラマがあるだろうか?
汗臭さを落とすのは良いが、皮膚の薄皮まで剥いでしまった様な感じである。
薄皮を剥いだ人間が本当の人間なのか、汗臭く泥臭い人間が本当の人間なのか、、、そんなことを考えてしまうような音である。
多分あとは使いこなしだろう。
デジタルケーブルやピンケーブルで何とかなるかもしれない。

結果としては、このDACはまずまずだった。
オーディオは「一度失敗すると取り返そうとしてさらに深みにはまる」のがお決まりのパターンだが、何よりである。
(過去に何度も深みにはまった経験者談)







電池の音

電池式のオーディオ機器を使うとAC電源の問題から開放される。
正直言ってAC電源であれだけ音が変わると、ひょっとしてオーディオは電源なのではないかと思ってしまう。
ブレーカーから室内までの配線、壁コン、壁コンの取り付け方法、タップ、タップの固定法、機器の電源ケーブル、ノイズフィルター、取り回し(デジタル系とアナログ系の区分け)、挙げ出したらキリがない。
これが嫌で以前はCSEのクリーン電源(こんな名前だったっけ?、、、、最近記憶が、、、、脳が、、、、ここはどこ?)を使っていたこともあったが、これがまたクリーン電源の種類によってころころ音が変わる。

そこで電池である。
現在、サブCDはソニーのディスクマン(クロック交換)、47研のDAC(サウンドデン改)、パッシブボリューム、ということはパワーアンプにしかAC電源を使っていない。
これはいいぞ。
電池は昔金田式アンプを使っていた友人が言っていた。「アルカリやニッカドは癖があるのでマンガンが良い」

ところが、最近になって金田式の友人が何年かぶりに遊びに来てくれた。
何気なく電池の話をしていると、「最近のマンガンは音が悪いから、充電池を使っている」とのこと。(オイオイ)
そこで私も電池を交換することにした。
ディスクマンは単3だから比較的容易に電池が手に入った、
アルカリ、ニッケル水素、エボルタ(充電池のほう)、、、、
この中でアルカリは少し音がこもる。これは没。
ニッケル水素とエボルタはほとんど違いが判らない。
しいて言えばニッケル水素は少しだけ音にパワーがあり、エボルタは少しだけ落ち着いている。
でも多分ブラインドでテストすると自分でも解らないくらいの違いである。
(というか、再テストをすると、全く印象が違うということもしょっちゅうあるが、、、)

次にDACである。
こちらは困った。
エボルタには単1がないのだ。(知らんかった、、、)
ニッケル水素も単1はお店では見掛けない。
仕方なくサンヨーのエネループの単1を入手し聴き比べてみたが、これには驚いた。
ディスクマンと違い、アルカリとエネループの差が大きく出てくる。
一度エネループを聴くと、さすがにアルカリには戻れない。

というわけで、電池の選択は無事終了、、、、、と思っていたら47研のDACを譲って頂いた方から連絡が来た。
「電池はボルト数が合えばだいたい何でも使えます」
乾電池だけでもまだニッカドやカドミウムなど色々あるのに、車用や工業用も使えると言う、、、、ううう、、、
それに多分、電池BOXや配線でも変わるんだろうなあ〜
これなら、AC電源使っていたほうが、まだ煩雑でなくて良いのではないか?、、、、と思ってしまう今日この頃である。







摩訶不思議、デジタルケーブル

これだけ長くオーディオをやっていると、ケーブルについても色々経験を積んだ。
スピーカーケーブルに電源用の平行線を使ったのを皮切りに、長岡さんのキャブタイヤ、無酸素銅、LC−OFC、PC−OCC、銀線、PCーOCCA、6N、7N、8N、アキュフェーズやモニターPCなどの市販ケーブル、さらにはオーラルシンフォニクスやハーモニクスなどのマニアックなもの、、、、、

面白いのは電源ケーブル、次にピンケーブル、、、、、スピーカーケーブルは太くて抵抗値の低いもの、、、、

三十年以上オーディオをやっている割には、馬鹿高いものは買わなかったが、今思うとそれなりにやっている。
これだけ色々やっているとだんだん勘が働くようになる。
線材の種類や構造、手ざわりなどで大体音の想像が付くようになる。
馬鹿馬鹿しいようだか「手ざわり」はかなり重要である。ケーブルの硬さや皮膜の感じが音にも影響しているように思う。

これほどやっていて、一向に勘が働かないのはデジタルケーブルである。
これも、自作、市販、高周波用のケーブル、色々試してみたが、デジタルケーブルだけは聴くまでさっぱり解らない。
インピーダンスにもあまりこだわる必要はないと思う。
確か長岡さんもFケーブルとか使ってなかったっけ?

最近になって、47研をお譲り頂いた方からデジタルケーブルを頂いた。
これが何の変哲もない銅線の皮膜ケーブルに、綿(?)を巻きつけ、ジルコンサンドでダンプしたものだという。
このケーブルを、私がさらに防磁し、その上シールドをかけた。
これがなかなか良い。
少しインパクトが弱い気もするが、情報量は充分である。

そうこうしている間に、こんどは友人が、某大阪のディーラーが販売しているデジタルケーブルを貸してくれた。
ディーラーの名前を出すと差し障りがあるといけないので、I品館とだけ記しておく。
これも、なかなか良い。
低域が太く、なおかつタイトになって出てくる。
ケーブルで音が広がる方向に行くのは何度も経験があるが、「太くタイトになる」というのはいったいどういうことやねん??
不思議だ??
デジタルケーブルだけは全く勘が働かない。
というか、「元から鈍い」という突込みがありそうな気もするが、、、、





オーディオキャパシターについて

金田式アンプの友人がアンプを持って遊びに来てくれた。
金田式アンプと言ってもご存じない方がおられるかもしれないが、「無線と実験」誌に掲載されている自作アンプである。
一時はかなり有名になり、金田さんが使われる素子は法外に値上がりすると言う現象まで起こった。
AC電源のものもあるが、その真骨頂は「電池式」であり、当時は主にナショナルのマンガン電池を使われていたように思う。
もう数十年前に実家のJBL38センチバーチカルツインで鳴らした時は、さすがに駆動し切れなかったような思い出がある。

持って来てくれた金田式アンプには、オリジナルにひとひねり加えてある。
充電式のニッケル水素電池にカーオーディオ用のキャパシターをパラってある。
このことにより内部抵抗が低くなり、瞬発力が増すと言う。
それも、使用電圧から言って「オーディソン」と言うメーカーのキャパシターが良いと言う???(理解範囲外)

さて、繋いで鳴らしてみると、、、、、、悔しいがテクニクスの7000より良い。
主な違いは確かに瞬発力と音場のクリアさだ。
非常に静かでクリティカルなアンプである。
かと言って音が冷たくなり過ぎない。
私の人生で聴いた音の中でも、最上の部類の属するだろう。

試しに、このキャパシターを手持ちの47研のDACの電池にパラってみると、同様のことが起こった。
瞬発力が抜群に早くなる。
結局、私はDAC用にこのキャパシターを購入することになった。

友人の持ってきてくれた金田式アンプは、「金田式」の良さなのか「キャパシター」良さなのか、、、、
それを考えると、ACにしても電池式にしても、まだまだ電源は改良の余地があると思う。
思わず「アンプは電源だ!」と言ってしまいそうになるのをグッとこらえたが、代わりに金田式の友人が言い放った。
「電池式アンプの課題は電池です!」
そんなこと、金田さんが聞いたら泣くかも知れん、、、、。








オーディオは電源だ!

キャパシターを入れた電池式アンプの音の良さには驚いた。
もともと電池式アンプはSNが良く音場感が良く出るが、少し非力な部分がある。
重たいウーハーだと駆動に四苦八苦だ。(四苦とは仏教用語で生・老・病・死のこと、「生きる」ことが「苦」と言うのは奥が深い?)
そこをキャパシターが良くカバーして、38センチウーハーを楽々と駆動する。
これではとてもテクニクスのACアンプでは分が悪い。

しかし、いまさら金田式アンプを使おうとは思わない。(というか作れないので思えない。)
そこで電源の見直しを行った。
今の電源は家の親ブレーカーBOXの横にオーディオ専用のブレーカーBOXを増設し、そこから2ミリのFケーブル(エコグリーン)で直接引いている。
さぞやクリーンな電気が来ているかと思っていたが、何のことはない。
間接的に家中の電気製品のノイズが乗っていることについては変わりはない。
おまけにここは大阪市内だから、隣近所も密集しており、その分ノイズも多いだろう。
それは、増設したブレーカーBOXやエコグリーンでどうなるものではない。

そうこうしているうちに実家へ帰る機会があったので、NTTのノイズフィルターを持ってきた。
ノイズフィルターには色々あるが、電源に直列に入るものは、下手をすると音がなまってしまったり癖が出る。
そういう意味では並列に入るものの方が、効き目は少ないものの、癖が少ない。
以前色々試したが、このNTTのノイズフィルターは、直列に入るものの中では唯一なまりや癖を感じない。
確か4万円以上したもので、ADSLなどのノイズを取るものだった様に思う。
これを、昔友人が内部配線を銀線に変えてくれた。

これは圧巻だった。
一度入れると、もう二度と元に戻れない。
圧倒的に音がクリーンになる。
オーディオは何かを変えると確かに音は変わるが、良くなったか悪くなったかの判断は難しい。
入れた当初はよくなったと思っても、何日かして戻してみるとどちらが良いか判らないということが多い。

それにしても、電源でここまで音が変わるとは、、、
今日は金田式の友人がいないのであえて言おう。
「オーディオは電源だ!」 (ついに言ってしまった,、、、知〜らないっと)

 





摩訶不思議、デジタルケーブルU

デジタルケーブルについては相変わらず苦戦している。
借りていた某大阪のディーラーI品館のケーブルは、無事友人の手に戻って行った。
手持ちの物の中ではオヤイデの銀線同軸ケーブルを使って自作したものが、一番しっくり来る。
所謂ピラミッド型の落ち着いた音である。
情報量が多い割には嫌な音を出して来ない。
優等生だ。
改めて、この半年くらいオークションで手に入れたもの、手持ちのもの、色々聴き比べてみる。

ディーラー系の銀線ケーブル、確かクライオ処理だったっけ、、、少し情報量が少ないかな、、、
昔I品館で薦められた海外製のもの、、、、、少し緩い、、、
ケーブルの間にセパレーターが入った海外製のもの、、、、低域が薄い、、、
オークションで落とした真田紐のスピーカーケーブルを作っている某海外有名メーカーのもの、、、良いケーブルだが音に面白味がない、、、

結局オヤイデかな、、、と思っていたら、ガレージメーカーで面白いケーブルを見つけた。
「イースクエア」というメーカーである。
メールでやり取りしていると、一人でやっているという。
このメーカーは銀を主体に「ある貴金属」を少しだけ入れると、銀の欠点が緩和されると言う??
昔は私も銀線マニアで、2mmの銀線でデジタルからピン、電源に至るまで自作していたことがある。
銀の良さも悪さもよく知っているが、2mmの銀線となると曲げにくく使いにくい上に、情報量が多く音に実体感があるが空間感が出にくい。
皮膜の処理を誤ると音がうるさくなる。
この欠点を「ある貴金属」で緩和したと言う??
さらに、このケーブルでも音がストレート過ぎるという場合に、さらに「ある貴金属」を加えて、少し情報量を抑えつつボーカルの生々しいケーブルを作ったと言う??
前者を「ソレイユ(太陽)」と言い、後者を「リュンヌ(月)」と言うらしい。

申し訳ないが、ガレージメーカーの聴きもしない製品をいきなり購入するのも気が引けたので、とりあえず「ソレイユ」を試聴でお借りした。
ううん、、、確かに良いケーブルだ。
銀線系の音だが、空間感がよく出る。
少しボーカルが引っ込む気がするが、逆に言えば低域端・高域端が良く伸びているのでそう感じると思う、、、本物だ。
ただし、私はこの音が好きだし情報量が多いのを好ましく思うが、一般的にはまだ「単線系」の音だ。
使いこなすのにある種の難しさはあると思う。

結局「ソレイユ」と「リュンヌ」の両方を発注した。
そして「リュンヌ」、、、ボーカルが生々しくて、一般的にはこちらかな、、、

現在、「ソレイユ」がメインCDに、「リュンヌ」がサブCDに繋がっている。
いずれにしても、これらのケーブルが一万円ちょっととは、、、、、儲けあるのかな〜

しかし、銀に「ある貴金属」をどれだけ入れたら音がどう変わるなんてのは、アマチュアの手の出せるレベルではない。
また、お借りしたケーブルがピンのコレットの調子が悪く修理をお願いしたが、「付け替えに半田の熱をさらに加えると音が悪くなる」ので、新しいものを作ったとか、、、プロの仕事であると感心した。





静電気除去

オーディオには、というか電気製品には静電気は付き物だ。
この静電気を取ると音が良くなるという、、、、解らなくもないが、さてどうだろう?

そこで、様々な静電気対策をしてみた。
まずはオークションで買った静電気除去シール。
説明を読むと「コロナ放電で静電気を除去する」という。
出品者の説明によると「貼ってからしばらくして徐々に効果が現れる」という。
良く効く場所は、電源周り、ケーブル、ラック、スピーカーなどらしい。
直径3.5センチほどの薄い糊付きのシールである。



まずは電源周り、ブレーカー・ノイズカットトランス・電源ケーブルなどに貼ってみた。
馬鹿馬鹿しいようだがかなり変わる。
特にブレーカーの変化が大きかったようだ。
ただ、貼ってから徐々に効いてくるのと、戻してもう一度聴き直すというのが出来ないので、正確なテストがしにくい。
ピンケーブルは、変わった気がするが、初めから電磁波防止対策をしているからか、扱う電圧の関係か、電源ケーブルよりは効かない様に思う。
ラックにも張ってみたがこれは良く解らなかった。
CDプレーヤーやアンプのシャーシも良く解らない。
というか、だいたい馬鹿でかいテクニクスのアンプのシャーシにシール1ケで良いものかどうか、、、
結局シャーシを開けて中のトランスに直接貼った。
CDプレーヤーのトレーは、もともと貼ってあったトライガード(ガーボンを混入した不繊布)の上から貼ったりしたので、これも良く解らない。
スピーカーのフレーム、これは良く効いた。
総じて、音のツッパリが取れてふわっとした空気感が出てくる。
様々なオーディオグッズがある中で6枚350円はバカ安だ。
もともとオーディオ用ではないのだろう。


次に本命のサンダーロン。
これは静電気対策商品として特許も取っている繊維で、この繊維を混入した様々な商品(衣類など)も徐々に出回っている。
「コロナ放電」で静電気を取るという。(さっきと説明が一緒だが、こちらが特許も取っているので、多分本家なんだろう?)
私の入手したものはほぼそのままのサンダーロンで、小さなハンカチ大のものである。



これをハサミで切って、中域のユニット(168EΣ)のマグネットに巻いてみた。
あまり「激変」などという言葉を使いたくないが、かなり変わる。
音がクリアになり、ツッパリが取れ、音場がよく出るようになる。
結局、ユニットのフレームにも貼り、ウーハーにもツイーターにも使ったが、どちらかと言うと中域、次に高域かなあ〜
これはその辺の怪しげなオカルトグッズではなく(というか他分野で実績もあり)、ちゃんと特許も取っていて安心出来る。
(ちなみに私もオカルトグッズを完全否定するわけではないが、いかにも怪しげで法外なものが多いことも否めない)


最後にリスニングルームの調整用として工業用の静電気除去機を手に入れた。
シムコと言うブランドの「タイニー」という製品である。



精密機器などを組み立てるときの静電気除去に使うものだから、効果は本物だ。
ただし、使えば判るが、音が大きい。(まあ、もともと工場とかで使うものだし、、、)
この音ではリスニングルームはおろか、リビングではテレビの邪魔だし、寝室では眠れそうに無い。
どうしよう?

そこで、今度は家庭用のものということでマイナスイオンサーキュレーターを手に入れた。(マイナスイオンと静電気除去はどういう関係があるのかと言うことについては、いつものように深く考えないようにする)
ところが、家庭用といえども、リスニングルームでは音がかなり気になる。



なかなか難しい。
結局、マイナスイオン発生器のファンの無いものを使っているが、代わりに効果も良く解らん???




ここまで色々やってみてなんとなく解ったが、今まで音は変わるけど原因が解らない対策も、「静電気」で説明出来るものが多いのではないか?
トライガード(カーボン繊維)やケーブルに巻きつけるグッズなど、静電気を取っているのではないかと思われるものも多い。
こうして考えると、やはりオーディオは総合芸術だ。
奥が深い。

ところで、先ほどの「タイニー」であるが、CDをトレイにセットする前に30秒ほど除電してかけるとかなり音がよくなる。
同時比較ではないが、A社の「消磁機」より効果は大きそうだ。


「タイニーとハサミは使いよう」などと書くと、また余計な突込みがぶっ飛んできそうなので書かないでおく(というか書いてるか?)





進むに進めず引くに引けず

オーディオを長くやっていると、必ずこういった状況に落ち込むことがある。
今回はアイソレーショントランスだった。

このところの様々な経験から、オーディオはまだまだ電源部分に手を加える余地があることが解った。
そこで、日本橋をプラプラしていて面白いものを見つけた。
ダイトーエレクトロンのアイソレーショントランスである。
話を聞いていると、オーディオ用ではなく医療用機器などを接続するものだと言う。
それはいい。(私はあまり「オーディオ用」と言うものを信用していない)
500ワットなのでアンプにつなげ無くはないが、今回はCDとDACにつないでみた。

配線はいつものようにオヤイデ、、、ほとんど私の中の定番である。
コンセントはアメリカン電機、、、非メッキなので安心出来る。
(メッキは必ずメッキの音が乗るので、いけなくは無いが使い方が難しい)

さて出て来た音は、、、、確かにS/Nは抜群に良くなる。
非常にクリアだ。
オーディオ的に言ってかなりグレードが高くなった。
しかし、しかしなのである。
音がクリア過ぎて聴いていて疲れる。

ちなみに、遊びに来た友人は「スピーカーにネットを掛けた方が良いですね」などと言っていた。
ところが元に戻してみると、今度は音が曇って聴こえ、情報量が落ちた気がする。
トランスを入れると音がきついような気がするが、無いと情報量が落ちる、、、、、、、
ここで進退窮まった。

しかたなくトランスを入れたままで色々調整していると、DACの電源ケーブルに目が行った。
そういえば、「金コロイド」などと言うかなり特異なものを使っている。
これを予備のオヤイデに変えてみる。
すると少しきついのが取れるではないか、、、、
ということは、このきつさは何かの音が乗っている可能性がある。

そこで、ケーブルからインシュレーターから、果てはスピーカーの吸音材まで再調整する破目になった。
スピーカーなど一週間くらいああでもないこうでもないとばらばらのままであった。
結局3ケ月がかりでやっと落ち着いた。
実はその間、あまり大音量で聴きたくなかった程で、心穏やかでない日が続いた。

今は逆に、以前より少しアンダー気味だが、情報量は多く、グレードがまた一段上がった気がする。

「進むに進めず引くに引けず」、私は今までこういう状況に陥った場合、出来るだけ情報量の多いほうを取るようにしている。
そうすることによって、かなり色々な部分で苦労することになる。
ただし、情報量が多いものの音の方向性は何とか変えられる可能性があるが、情報量が少ないものの情報量を多くすることは出来ない。

「自分から苦しいほうの道を選択する」、、、、人生ではしたくないがオーディオではありかな?








PCオーディオ

PCオーディオがブームだそうであるが、私は「ブームなのでやらない」と言うほどへそ曲がりではない。
というか、基本は雑食系なのだ。
面白そうなものには手を出してみたくなる。
ただし、そこには時間と労力と金銭の問題があるから(特に三番目?)、あとは優先事項かどうか勘と経験で判断することになる。

PCオーディオにも色々な考え方がある。
一般的に一番ウエイトの高いのは「ライブラリー」だろう。
増え続けるソースを「ハードに一括して落として、整理したい」というものである。
いまなら、数テラのものでも、1万円以内で手に入る。

次に「CDプレーヤーとして使いたい」というもの、これも多数派かな?
パソコンには基本的に「ドライブ」と「DAC」が付いているので、CDプレーヤーとして使おうというものである。

そして私の様に「トランスポート」として、使いたいというもの、多分これは少数派だろう。
単独のDACを持っていることが最低条件となる。


普段家でも会社でもパソコンを使うので、なじみが無い訳ではなかったが、自分で組むとなると本当に大変だった。
ご教示頂いた、H氏・M氏・U氏には、心から感謝している。


トランスポートとして使うとしても、様々なことを考慮しなければならない。
まず、OSはどうするか、デジタルアウトは同軸か・USBか・ランか、マザーボードのファンはどうするか、ハードは回転式かソリッドか、さらにウインドウズのメディアプレーヤーは使うかどうか、、、、、

OSは軽いほうが音が良いというので、最初にウインドウズ98SEを薦めて頂いて使ってみた。
現在これは手元にあるが、確かに静寂感では一日の長がある。
ただし、瞬発力・爆発力は今いち今さんである。
基本的には、BGM用だ。
加えて、98SEは今となっては使いにくい。
同時期のマザーボードを使ったので、大きなハードは認識しないとか、カードが自動認識しないとか、現行の新しいドライブを使おうとすると認識しないとか、USBマウスがすぐに使えないとか、、、、、何かを変えようとすると何かが引っかかってくるという状態で、結局最初に教えて頂いた当時の定評のある組み合わせをそのまま使うのが一番良かった。
やはり、先駆者の知恵は使わせて頂くものだと感心した。

次に、何とか音に瞬発力をと思い、ウインドウズXPプロを使ってみた。
ところが今度は、現在のマザーボードはCPUが大きくなり、ほとんどのものがファンレスでは使えない。
仕方なく、数年前のアトムのCPU付きのマザーボードを使っている。
SATAの端子が2つしかないなど使いにくいが、まあ何とかギリギリと言うところである。
こちらは、IDEの普通の350ギガのハードがすんなり使えたが、リッピングは考えていないので、将来的には小さなSSDを使ってみたいと思っている。
サウンドカードは、ウインドウズメディアプレーヤーを通したものは話にならない。
これを回避出来るRMEというメーカーのものを選んだ。(アジオと言うらしい、今はウインドウズメディアプレーヤーを回避出来る擬似アジオというソフトもあるが試していない)
もともとはプロの録音現場などで使うものだそうで、オークションで落としたが、新品ならとても買えたものではない。
ドライブは定評のあるプレクスターと、かなり古い日立のもの、これが一長一短である。
プレクスターは心持雑い、日立は心持緩い、、、まあオーディオはいつもこんなものである。
ケースは、CDプレーヤーと同じような格好をした高価なものを購入したが(もちろんオークションで安く)、さて音にとってはどうだろう、、、、案外昔のパソコン用のミドルタワーの鉄のガチガチの物の方が良いかも知れない。

それ以外にも、電源やマザーボード、ドライブ、ケーブルなど友人と共同で数種類試しているが、やはりすべて音は変化する。
この辺はやはりオーディオである。

ところで、一番の問題はこれがオーディオとしてどのレベルにあるかと言うことなのだが、残念ながらメインシステムには及びも付かない。
もっとも、私のメインシステムのソニーの5000は、もともと音の良いプレーヤーを、さらにクロックを交換し、メカベースをサウンドデンでステンレスに交換してもらい、真鍮の1センチの板で底板を補強し、、、、、、、他に類を見ない音である。
それでは、サブシステムのソニーの30アナログ出力・クロック交換と比べるとどうかと言うところだが、こちらはPCオーディオの方はインフラノイズのDACを通していることもあり、まあ、楽勝かな、、、、と言うレベルである。
これをどう考えるか、、、、、、頑張っているとも言えるし、そのレベルでは使いにくいとも言える。
悩ましいところである。
ただしPCオーディオは一つ一つのパーツの寄せ集めであるので、他のサウンドカードを探すとか、マザーボードを変えるとか、可能性はかなるあるとも言える。

今のところ、PCトランスポートの制作はそれ自体がひとつの楽しみのようなもので、他の人にお勧めもしないし、お金があるなら高価なトランスポートを買ったほうが良い。


今年の頭からぼちぼち始めたPCトランスポートだが、かろうじてOSの再インストールが出来る程度だった私が、仮にも自分でパーツを選んでパソコンを組めるようになったのは、ひとえに教えて頂いた皆さんのおかげと、私の努力と忍耐と才能と男前とかっこ良さのせいである。(それが教えてもらった人間の態度かい)
(というか、落ちを付けんと気がすまんのかい)







オーディオは不思議だ!

CDとDACにダイトーエレクトロンのノイズカットトランスを入れてから半年あまりになるが、状況は一進一退である。
情報量は多いものの、なぜか高域が強調された音になる。
ハッとする良さがあるが、きつくも感じる。

そこで、ノイズカットトランスを外すのではなく、逆転の発想でアンプにもノイズカットトランスを入れてみた。
同じダイトーエレクトロンでも良かったが、今度はさらに効きそうな電研精機の1キロワットのものを手に入れた。
オークションで手に入れたが、かなり重い。
置くのに四苦八苦したが、専用の台を作り何とか置いた。
(二段式の台で下にダイトーエレクトロン、上に電研精機を置いたので、少々のことでは動かせないにもかかわらず、さらにその上に15センチ角の御影石を置く)
もしこんなものを膝の上に置かれたら、何でもしゃべってしまいそうである。(何をしゃべるというねん!)

さて、音のほうはどうか?
やはり高域がきつななぁ〜
まあ、エージングとかもあるので、しばらくそのままで鳴らしっぱなしにしておく。
数時間してさらに聴いてみる。
まだ、高域がきつい。
気のせいか、先ほどよりきつい気がする。
さらに数時間して聴いてみる。
また少しきつくなったような気がする。
高域がチリチリするようだ。
気のせいかもしれないが、どう考えてもおかしい。

電源を切って、翌日また聴いてみる。
昨日のチリチリが、少しましになったようだ。
しかし、また聴いているとだんだんきつくなる。
ここから二週間ばかり電研精機と格闘することになる。
台とトランスの間にフェルトを挟んでみたり、静電気除去のシールを張ったり、NTTのノイズフィルターを電研精機の前に入れたり後に入れたり、電研精機とダイトーエレクトロンを入れ替えてみたり、、、、、何をしても納得した音は出てこなかった。
諦めかけた時に、ダイトーエレクトロンを購入する時に電気屋さんのおっちゃんが「精密機械に使用するならアースを取ったほうが良い」と言っていたのを思い出した。
言われた時は「オーディオは精密機械ではないから、、、」と思っていたが、だめもとで洗濯機の後のアース端子からアースを取ってみた。
これが、言いたくはないが、激変した。
ダイトーエレクトロンを入れたときから始まった高域のきつさがすべて取れたのである。

考えれば、アンプ側にもCD側にもノイズカットトランスを入れるということは、機器側が完全にフロートすることになる。
素人考えだが、どちらか一方のノイズカットトランスがないときは、機器側のどこかが回りまわって、ノイズがアースに落ちるのだろう。
完全に浮かせると、時間が経つにつれて、だんだん高域がきつくなってくる。
これも多分、電気屋さんに言わせると「そんな馬鹿なこと、、、、」と言われるかもしれないが、そうとしか考えようが無い。
私もあまりに不思議だったので、友人を呼んで再実験をしてみたが、やはり同じ結果だった。

もう30年位前のことになるが、機器からアースを取ったときには、一長一短、良くもあり悪くもあり結局外してしまったことがある。
しかし、今のオーディオ機器は当時から比べてかなり複雑になり、ノイズも多いのだろう。
ちなみに、PCオーディオトランスポートのマザーボードの基盤からアースに落とすと、やはり高域がなめらかになる。

オーディオは不思議だ。








カプリース(CAPRICE)が来た!

今のオーディオ装置の一番大きな問題はスピーカーとDACにある。
これは私だけでなく、私の周りのオーディオマニアの共通した見解である。
このうちスピーカーの方はもう35年も自作しているし、だいぶん形になって来た。
問題はDACである。
CDが世に出てからもう30年近く経つが、未だにアナログの方が良いと言うマニアも多い。
この問題は非常に根が深く、かなりかなり多くの部分でCDはアナログを上回るが、中高域の微妙なニュアンスはアナログの方に分がある。
言い換えれば、CDの中高域の僅かな強調感(硬質感)が、楽器やボーカルの微妙なニュアンスを出難くしているとも言える。
私の友人はこれがいやで、あえて中高域をトーンコントロールで落としたり、高域が出難く感じるケーブルを使ったりしている。
私はこういったことはなるべくしたくない。
出来ればDACも自作してゆっくり研究してみたいが、私は回路が解らないのでDACは市販のものを買うしかない。

今までワディア、ハーモニクス霊妙、47研、インフラノイズ、その他色々使ってみたが、なかなかこれと言う決定版が無い。
また、それぞれかなり音調が違い、いったいどれが正解なのか良く解らない。
今一番良く使っているのはインフラノイズであるが、正確と言うより少しだけ音楽をうまく聴かせるタイプで、そこのところが良い点でもあり、不満な点でもある。

そうこうしているうちに、フィデリクスから新しいコンバーター付きプリアンプが出るという。
名前はカプリースと言うらしい。
実はこの情報は、2010年の当初から知っており注目していた。
その時点では発売は6月の予定だった。
少し出回ってから評判を確認して検討しようと思っていたが、6月どころか夏が終わっても秋が終わっても発売されない。
ようやく出てきたのは11月になってからであったが、もうその頃には第1ロットの100台は完売だという。
次のロットの100台は11月中には生産出来るらしいが、もうそれも予約が埋まりそうだという。
もうこうなれば、評判を確認してからなどと言ってられない。
この分の予算をこつこつ貯金していたこともあって、慌てて予約した。
ところが11月中に来るはずのものが12月になっても来ず、1月になっても来ず、ようやく手元に届いたのは2月の半ばであった。

来てみたらこれが良い意味でも悪い意味でも大変なDACであった。
まず、接続であるが、もともとDAC付きプリアンプなので、DAC単体として使おうと思っても、ボリュームやアンプを経由しないピン出力がないし、スルーするスイッチもない。
ボリュームやアンプを経由しない出力は、キャノン端子から特殊な接続をしないと出ない。
仕方ないので、キャノン端子を買って来てケーブルを作る。
さて、接続してスイッチを入れて鳴らすと、音は出るもののところどころロックが外れて音が途切れる。
不良品かと思って取扱説明書をよく読むと、スイッチを入れて直後はロックが外れると書いてある。
確かに説明書通りだが、、、
さらに、これはプリアンプなのでアナログ入力端子に別のCDのアナログ入力を入れると勝手にデジタル入力とMIXしてしまう。
さらにさらに、バックパネルが小さい上に入力端子が多いから、接続しにくい事この上ない。
さらにさらにさらに、いまどき、電源ケーブルが直出しである。
しかも、プラグが2Pのモールドであるため、極性から合わさなければならない。
さらにさらにさらにさらに、演奏中に同じ電源タップから取った機器のスイッチを切ると、またまたロックが外れる。
さらにさらにさらにさらにさらに、、、、、、、もういいか。
とにかく使いにくいことこの上ない。

それでは音の方はどうか?
最初は少し高域が突っ張るかなと思ったが、しばらくしたらこの部分はなくなった。
水晶発振子にエージングがあるらしい。
それにしてもこの音を言葉で言うのは非常に難しい。
ネットや雑誌では、アナログの音だの、マスターテープの音だの、スカスカだの、様々に書かれているがどれも一理あると思う。
カプリースは、私の耳には固有音が少なく雑味がなく音場が広く細かい音が良く出る様に聴こえる。
ただし、あまりにも固有音が少ないため、個性の強いシステムではこの良さが解らないと思うし、低能率なスピーカーでは凡庸に聴こえるだろう。
私はカプリースがこれまでのDACと一線を画すると思うのは、今までCDというメディアが持つ欠陥あるいはデジタルそのものの持つ欠陥だと思っていた中高域の強調感(硬質感)が、かなりの部分で取れていることだ。
そのせいで音楽が非常に「生っぽく」聴こえる。
この「生っぽさ」こそが、カプリースの最大の特徴と言えるかもしれない。
カプリースの音を聴いたハイエンドマニアが数百万円のDACを手放したなどと言う話を聞くが、私はカプリースがハイエンドDACより音が良いかどうかはどちらでも良い。
それより、ここ30年の間の課題であった「CDっぽい音」「デジタルっぽい音」から脱却する糸口が見つかったことの方がありがたい。

それにしてもここのメーカーは「フィデリクス」という社名で非常に発音し難いし、商品名は「カプリース」でかなり覚えにくい。
もうこの歳になると段々カタカナ語が覚えにくくなる。
私の先輩でイラクで靴を投げ付けられたアメリカの大統領を「プッシュ大統領」といった人がいたが、心ではやめようと思ったが条件反射で突っ込んでしまった、、、、、「押してどないすんねん」、、、、根っからの関西人である。








自作CDトランスポート


オーディオは、当たり前のことだが、ソースがなければ成り立たない。
私がオーディオを始めた頃は、既にアナログレコードがあったし、それからCDが発売されて現在に至っている。
その間、カセットテープもあったし、オープンリールもあったし、MDもあったしSACDもあった。
しかし、ソースの主流は、アナログレコードでありCDであった。

私はソースがマイナーなものは音が良くてもあまり好まない。
ソースの値段がなかなか下がらないし、中古市場にも出てこない。
機器にお金をかけても、ソフトがなくなっては意味がない。


そのパッケージソフトが徐々に市場からなくなろうとしている。
世の中の主流が「ダウンロード」になりつつある。
さてどうするか?


昨年1年間PCオーディオをやって解ったことは、今のPCオーディオはどう頑張ってもCDを超えられないということ、、、、将来的には未知数だが、大容量のスイッチィング電源、貧弱なクロック、USBを使えば電源のケーブルの横に信号があること、、、これではとてもオーディオ専用機器には敵わない。
消費電力の少ないSDカードやipodにダウンロードするという方法もあるが、どうだろう?


今、CDはなくなりつつあるとはいえ、まだまだ新譜も中古もあふれている。
私も年齢からいっても、体調からいっても、あと20年くらいしか生きられないだろうから、今の間にCDを買い占めておけば、生きている間くらいは楽しめるのではないか、、、


CD再生に限っていえば、ここへきて音の良いDACが割と手に入る金額で出回ってきた。
今使っている「カプリース」もそうだし、他にも面白そうなものがある。
問題はトランスポートだ。
専用のものは手が出ないほど高くなったし、CDプレーヤーを使うとしても、ピックアップの寿命の問題がある。
CDドライブは、メインとして頻繁に使っていると、だいたい5年くらいで音飛びがしたり掛からなくなったりする。
その時、機種によっては、ピックアップがディスコンになっているのだ。
実は私のソニーの5000も、もうメーカーではピックアップの交換が出来ない。



前置きが長くなったが、色々考えてパソコンのCDドライブを直接トランスポートとして使うことを思いついた。
通常パソコンがなければCDドライブは動かないが、「美武クリエイト」というメーカーから、パソコンのCDドライブを直接制御できる基盤が発売されている。

これは、部品セットなので、まず基盤を組まなくてはならないが、私の半田付けの技術ではとても無理なので、友人に組んでもらった。
「再生」「停止」「早送り」などのボタンと、小さな液晶の表示が付いている。
リモコンが使えないのが欠点だが、液晶も割りと見易く使い易い。



CDドライブをトランスポートにする最大のメリットは、内部にメモリーを備えており、一回メモリーに取り込んでから再生してくることだ。
もしその間に読み取りエラーがあれば、再読み込みする。
元々が音楽用と違いデータを扱うので、読み取りエラーがあれば話にならない。
デジタル信号を正しく読むという点においては、CDドライブの方が上なのだ。



この状態で聴いてみると、わりと使えそうな音が出てくる。
まだまだ甘い点が多々あるが、少なくとも1年以上かかったPCオーディオより音が良い。

そこでまず1点目の改良として、電源に目を付けた。
CDドライブは12ボルトと5ボルトで駆動するが、「美武クリエイト」の制御基盤にはオプションとして12ボルトのACアダプターと、12ボルトから5ボルトの変換する基盤があるのでこれを使っていた。
ACアダプターは、オーディオ用でもなんでもなく、安っぽいスイッチィング電源のものである。
もし私が回路のことが解るなら、自分でディスクリート電源を組みたいところであるが、とても無理である。
そこでこのACアダプターを、ヤマハの楽器用の「PA−6」というディスクリートのアダプターに変えてみた。
これがかなり変わるのである。
音の雑味が取れ、音楽が生き生きしてくる。
やはり電源はかなり重要だ。
ちなみに、実験として、その辺にあったパソコン用のスイッチング電源を使ってみると、噴出してしまうほど音が悪い。
PCオーディオも、ありあわせのスイッチング電源では音が良くないはずである。

その次に目を付けたのが、クロックである。
CDドライプを開けていくつか中を見てみると、半分以上がセラミックのクロックである。
一部のものは水晶のクロックを使っており、残りのものはどれがクロックか不明であった。
これを何とかしなくてはならない。
今回使ったドライブは、音の良さで定評のあるプレクスターのプレミアムUである。
私の友人のM氏は、このドライブを相島技研さんにクロック交換してもらったそうが、音も良い変わりに費用もかなりかかったそうである。
私は最近ちょっと出費がかさんで、この金額が捻出出来なくてどうしようかと思っている時に、別の友人が「自分のプレクスターのクロックを注文する」というので、ご好意で一緒に注文してもらった。
クロックは特注で、精度は10ppmだそうである。
この友人には、ご迷惑ついでに、クロックの交換作業までして頂いた。

さて出て来た音であるが、交換前とは打って変わって、はっきりした押し出しの強い音である。
これは、ひとつにはクロックのエージング不足のせいだろう。
やってみないと信じられないとは思うが、クロックはかなりエージングで音が変わる。
私はもう10台以上クロックを交換しているが、驚くくらい音が変わる。

そこで毎日仕事から帰ってからエージングすると共に、中のコンデンサーなどに電磁波防止シートを貼ってみた。
すると、徐々に音が落ち着いて来た。
最終的には本来のプレクスターの、「少し抑制された落ち着いた音」になった。
音の感じとしては、中級クラスの一体型プレーヤーには勝っていると思う。


今後の予定としては、まず音の良いCDドライブを探したい。
プレクスターでも良いとは思うが、もう少し生き生きとして欲しい。
現在CDドライブはオークションで500円くらいから買えるし、日本橋でも100円くらいからある。
ほとんどコストプレッシャーは無いので、色々試してみたい。
良さそうなものが見つかったら、クロックも交換してみたい。

あと、現在はまだ合板の上に仮組みしただけなので、しっかりとした台に固定したい。
電源も再度検討したい。


いずれにしても、回路知識も全く無く、細かいハンダ付けの技術も無く、もちろんお金も無い私が、CDトランスポートを自作するとは思わなかった。
手助けしてくれた友人たちには感謝している。








相島DAC

相島技研さんとのお付き合いは長い。
もう7、8年以上前になるが、ソニーのポータブルCDプレーヤーのクロックを精度の高いものに交換して頂いた。
当時某雑誌で「ポータブルCDプレーヤーのクロックを交換出来るのは相島技研だけ」と書いてあったので、お願いして以来のお付き合いである。
その後、このポータブルプレーヤーからデジタルアウトを出して頂いたり、最近では友人がパソコンのCDドライブのクロックを交換してもらう時に仲介もした。(クロックはフィデリクス製)
それほど頻度は高くないものの、技術の高いメーカーなので色々お付き合い頂いている。

相島技研さんの一番の得意分野は、既製品のクロック交換や制振処理などの改造である。
ホームページに「ニュース」のコーナーがあり、割と頻繁に更新されている。
私も「ニュース」のコーナーは漏れなく読ませて頂いているが、それによると昨年くらいから相島技研さんのDACの音がかなり改善され、他にない音に仕上がったという。
このDACは注文販売で、お客さんの希望に合わせて音の好みを相談しながら制作するらしい。
私も「ニュース」のコーナーを見て気になっていたが、価格は時価であり、確かかなり以前のホームページに他のお客さんの価格が書かれていたが、とても手の出せるものではないと記憶していた。

その後「ニュース」のコーナーをチェックしていると、何回か大きな改善もありさらに音が良くなっているらしい。
そこで、以前からのお付き合いもあるので、メールで恐る恐る価格を聞いてみると、なんと最低10万円くらいから出来るという。
思っていた価格の数分の一で、渡りに船とばかりに友人を誘ってもう少しだけグレードの高いものを2台注文した。


メールで希望の音を相談しながら待つこと1ケ月半、DACが2台出来上がって来た。
ところが来てみて驚いた。
交渉は友人の分も含めて私が行ったが、音の希望は二人同じにもかかわらず、2台のDACは入出力の端子の位置も含めかなり内容が違っていた。
音は、1台は中高域はかなり良いものの低域が甘い。
1台は低域も含め全体のスピード感と情報量は抜群だが、ボーカルに色付けがある。
やはりメールで音の希望を伝えるのは難しい。
そこでまた希望を伝え、若干の追加パーツ代も支払い、手を加えて頂いた。


最終的に出来上がってきたものは、私のものはどちらかと言うとオーディオ的快感を感じさせるもので、ボーカルがわずかにハスキーながら、そこがまたセクシーにも聴こえる。
友人のものは、もっとニュートラルで、どちらかと言うとマスターテープのような音である。
ただし、両方とも情報量は今までないほど多く、録音時の空間がそのまま再生されているようである。
たまたま私がハスキー系の方を持つことになったが、どちらをとっても音に不満はない。
シャーシも金属板とコーリアンで一から組んだもので、高級感があるし、手作りであることを考えるとコストパフォーマンスは驚くほど高い。
多分、相島技研さんも全くの一見さんではないので、かなり無理をして頂いたと思っている。


このDACに問題があるとすれば、その形だろう。
本体と電源部は分かれているが、本体は横長で前面パネルには何もない。
後面には、入力端子(同軸)2系統、出力端子1系統(LR2つ)、電源端子があるが、入力の切り替えスイッチもこの面にある。
入力はちょくちょく切り替えるから、後面を前にすると、入出力のケーブルが前に出てくる。
また、後面はカバーが無く、中の素子が丸見えである。







電源部は打って変わって縦長で前面に電源スイッチが付いているのは良いとして、電源スイッチの真横に3Pのインレットがある。
電源のスイッチはそれこそ必需品だから前に向けると、前から電源ケーブルを繋ぐことになる??



後面には、本体へ繋がる電源ケーブルの端子がある。




置き場所にはさんざん苦労したが、多分相島技研さんの製品なので、電気の流れはこの形がベストなのだろう。

実はご縁があって、DACを制作してもらっている最中に相島さんが講演で関西に来られ、直接お話もさせて頂いたが、いかにも技術者といった方で、オーディオにも精通され、誠実なお人柄の方である。

多分そういう方だから「音質最優先」なんだろうなあ、、、、、あまりに頭の良い人の考えておられることは、凡人にはとても理解出来ないが、、、、





プロ用機器

最近でこそあまり言わなくなったが、昔からのオーディオマニアにとってプロ用機器はひとつの憧れである。
古くはJBLのスピーカーの43**シリーズで、実際これは本国でもスタジオで使われていたらしい。
(ちなみに、今のこのシリーズの型番は、まあ、極東向けの民生機と考えたほうが良いようだが、、、)
そのほかにも友人が持っていたデノンのアナログプレーヤー(ラックに作り付けの放送局用のバカデカイもの)やエレクトロボイスのPA用スピーカー、ガウスのユニットなど挙げればキリがない。

もう35年以上オーディオをやっているが、私はプロ用機器というのを使ったことがない。
なぜなら、理由は簡単で、値段が高いからだ。
多分それだけ故障し難く、経年変化が少ないからだと思うが、やたらに高い。
中古を探そうにも、分野が違うので、探し方が判らない。

ところが近年オークションが流行りだしてから、そういった機器がちょこちょこオークションに出るようになった。
先日もサーフィンしていると、なんとプロ用のDACがジャンク品としてオークションに出ていた。
写真で見ると、高さが低く、幅と奥行きが長く、メーカーは不明ながらどう見てもプロ用機器である。
ジャンクゆえかメーカーが不明なからか、僅か数千円だったので試しに入札して遊んでいると、なんとそのまま落札してしまった。
どこに置くかも考えず、どのように使うかも全く考えていなかったが、生まれて初めてプロ用機器が手元に来ることになった。


さてDACが来てみて、その重さとがっしりした作りに驚いた。
さすがプロ用である。
ところが繋ごうとしてみると、入力も出力もRCAがない。
デジタル入力はBNCとキャノンの切り替え、出力はキャノンのみである。
もちろん、出品されていた写真でも確認しているし、忘れていた自分が悪いのだが、偶然に落札してしまったので、深くは考えていなかった。

そこで慌てて日本橋へ走る。
出力端子はキャノンなので、パーツ屋でキャノン→RCAの変換プラグを買った。
入力はRCA→BNCの変換プラグがうまく見つからなかったが、偶然BNCと同じメーカーの全く同じ形のRCA端子があったので購入した。
帰って、いそいそと入力端子を付け替える。
いかに私のハンダ付けがうまくないとはいえ、この程度なら何とかなる。
出力にキャノン→RCAの変換プラグを差し込みケーブルを繋ぐ。
さて、音出し、、、、あれ、音が出ない、やはり故障品か、、、、と思ってよく聴くと、蚊の鳴くような小さな音で僅かに鳴っている。
何じゃこれは、、、、と思ってネットでよく調べると、日本のプロ用機器のキャノン端子は3番がホットらしい。(知らんかった)
キャノン端子は通常は2番がホットだから、買って来た既製の変換プラグは2番ホット・1番グランドのタイプで、これでは音は出ないはずである。
そこでまた日本橋へ走る。
今度は出力のキャノン端子と全く同じメーカーの同じ形のRCA端子を買ってくる。
間違えないように慎重に3番をホットに繋ぐ。
ケーブルを繋ぎボリュームを上げると今度は音が出た。

さて出て来た音はどうだったか、、、、
私は過去に7・8台はDACを使ったと思うが、このDACは決してグレードは低くない。
割とかっちりした良い音である。
低域は立ち上がりも早く、私好みである。
ただ、他のDACと決定的に違うのは、高域に滲みのないところである。
そのため一聴すると高域が出ていない様な気がする。
しかし、よく聴くと決して高域が出ていない訳ではない。
その滲みの無さで、あっけなく聴こえてしまうのである。
良く言うと無味無臭、悪く言うと面白みも何もない音である。

そういえば今まで聴いたプロ用機器も、多かれ少なかれこの傾向であったと思う。
昔のプロ用機器は、高域の発振を恐れてあえてレンジを狭めてあったと聞くが、今の製品はそうではあるまい。
ひょっとして、私のいつも使っている民生用の機器こそが、聴き易くするためあえて高域を滲ませているのかも知れないという考えが頭を過ぎった。
いずれにしても、今の私の知識や経験ではこの問題に答えは出せない。


昔から憧れだったプロ用機器、、、、、偶然にも我が家へ来ることになったが、まあ、道でばったり昔のクラスのマドンナと再会するようなもので、良かったのか、、、悪かったのか、、、、、良く解らない。











『わらしべ貧者』物語

下世話な話だが、オーディオをやるにはお金が掛かる。
いや、趣味にはなんでもお金が掛かるから、ゴルフをやっても、お酒を飲んでも、旅行に行っても、マージャンをやってもお金が掛かる。
この中で、特にオーディオは機器の値段が半端ではないので、家族からや世間からは白い眼で見られる。
えらそうに言っているが私も独身時代はそうだった。
借金をしてまでオーディオはやらなかったが、アキュフェーズのプリ、ヤマハの100周年記念のパワーアンプ、ワディアのDACなんかを持っていた時代があった。
でもその時代は、今から思えば今よりもっともっとグレードの低い音だったような気がする。


時代は変わり、私もローンを持ち家族が増え、世の中はデフレの時代になった。
事情があって給与も下がり、家のお金ではオーディオは出来ないから、少ないお小遣いをこつこつと貯め、オーディオをやっている。


一方オーディオ業界を見渡すと、1900年代前半くらいまでは結構欲しい製品があるが、それ以降は永い永い不況の時代に入りメーカーは淘汰され、これというめぼしい製品は見当たらない。
ところが他の業界と大きく違うところは、オーディオ業界はこの永い永い不況の時代に、デフレにならずにインフレになった。
世の中のほとんどのものが値下がりし、あるいは値段が据え置きでバリューが上がっているにもかかわらず、オーディオ業界だけは法外に高い商品が魑魅魍魎のように跋扈している。
もちろん、昔も高額商品はあったが、それは中級商品があった上であり、高額商品はそれで商売をするというよりメーカーの看板代わりでもあった。
近年のオーディオ業界のように、高額商品のみを販売し、お金持ちから粗利を取るだけの商売ではなかったように思う。
そんなことをしているから必然的に売り上げ台数は少なくなり、さらに1台あたりの粗利が必要となる。
冷静に考えて、ケーブル1本10万円とか、CDプレーヤーが200万円とか、年収5〜600万円の家族を養っている一般的なサラリーマンが買えるものではない。


私や友人も、もちろん事情もあるが、ほとんどそういった高額商品のことは話題にもならない。
その代わり、近年はかなりオークションが浸透したから、昔の1900年代前半くらいまでの製品が安く手に入る。
私も、今のパワーアンプはテクニクスの7000というフラッグシップモデルで、これは1900年代後半の製品だが、オークションで十万円ちょっとで手に入れた。
ここ数年で、新品で買ったのはDACくらいである。


では、それらの機器を購入する費用はどうしているか?
実は、最近ではフィデリクスのDACを購入した時は、手持ちのハーモニクスのDACをオークションで売り払った。
相島DACを購入したときもインフラノイズのDACをオークションで売り払った。
昔かなり高額だった商品も、オークションに出せば二束三文にしかならない場合もあるが、使わなくなって押入れで眠っているサブ機やサブサブ機は、そのまま眠っているより、世の中に出て他の人に使ってもらったほうが幸せだろう。

こうして、近年私のオーディオは、昔の高額商品を売っては、安いが比較的新しい製品を購入するという循環になっている。
このままいくと最後には、パソコンとヘッドホンのみになっているかもしれない、、、、なんてことはないと思うが、機器の値段が年々安くなるという逆わらしべ長者状態で、これからは自分のことを『わらしべ貧者』と呼ぶことにしよう。





ZANDENのCDプレーヤー

知る人ぞ知る世界的なオーディオメーカーにZANDENというのがある。
私の友人がこのZANDENさんの友人で、前々からお会いしたいと思っていた。
ところがお忙しいのか、なかなか機会が無かった。
ZANDENさんは世界的なハイエンドメーカーで、こちらも間違ってもお客さんではないから、そのままになっていた。
ところがこの
ZANDEN
さんから「機会が作れなくて申し訳ない」ということで、年末年始の間CDプレーヤーをお借り出来ることになった。

何しろその価格500万円、日本国内ではまだ2台しか売れていないそうである。(ユーザーはほとんど海外だそうである)
大晦日にいざプレーヤーが来てみると、トランスポートとDAC、それぞれの専用電源と4パーツに分かれている。
これを置くには、まずラックの整理からしなければならない。
トランスポートとDACの接続も、同軸や光なんてものではない。
I2Sである。(これ規格統一されてたっけ?)
一緒に付いてきた電源ケーブルも、大変硬くしっかりしたもので、これだけでも売り出したら数十万円はしそうである。
さらに本体はゴールド、その他はぴかぴかに磨き上げたステンレスの鏡面仕上げである。
触るのも怖いくらいである。
ただし、リモコンだけは一般的なもので安心した。
これもぴかぴかならPLAYが押せない。



ZANDENさんの伝言によると、「エージングは最低でも4時間、出来れば10時間はして欲しい」ということであった。
もちろん大晦日にも聴いたが、10時間を確保するため、プレーヤ−はリピートが掛かったまま年を越すことになった。

そして年が明けて、本格的な試聴に入る。
音を文章にするのは難しいが、さすがに世界に最高峰と言うだけのことはあった。
と同時に、私の自作トランスポート、フィデリクスや相島技研のDACも方向として正しかったことも再確認した。


何しろ500万円である。
死ぬまで買えないし、また、私の価値観(貧乏性?)から言っても買うことはないだろう。
音も音ながら、製品としての素晴らしさ、所有感、何を取っても超一流であった。













アンプ三昧な日々


私のテクニクスのパワーアンプが、一昨年修理に出した時に、「次にパワー段が故障したら、部品がありません」と言われている。
そこで、今年はぼちぼちパワーアンプを探すことにした。
そして、新年からそのことを友人知人に話したら、「じゃあこれ聴いてみたら」と言ってみんながアンプを貸してくれた。

集まったアンプはどれもこれもレア物。
まず、フライングモールのセパレートパワーアンプの、ボリュームをスルーして配線を銀線に変えたもの、デジタルアンプである。
それと、アンプ作りの本職が自宅で楽しんでいるという金田式の最新式のもの、リチウム電池駆動らしい。
もう一つ金田式で、これは30年くらい前に作って何度もリニューアルした電池(ニッケル水素)駆動のもの、もはや金田式とは呼べないくらい製作者の手が入っている。
最後に、スピーカーユニットのガレージメーカーの「オギトーン」の小木さんが1台だけ製作したという管球式パワーアンプ、、、、なぜこんなものを持ってんねん。

これらを順番に試聴し、どれもこれも他にはない逸品であることを確認した。
最も素晴らしいパフォーマンスを見せたのは、最新の金田式アンプ。
情報量、立ち上がり、レンジ、静寂感とも申し分ない。
唯一の欠点は音が明るいこと、他のアンプに比べても飛び抜けて開放的である。
この開放感は、この音が好きなら最高だろう。
ホーンスピーカーでジャズライブなどを聴いてみたくなる。
ただレクイエムなどを聴くと、、、、




小木さんの管球式も素晴らしい。
わずかに低域端が弱いものの、これも辛口で、とても管球式の音ではない。
切れ込みも、テクニクス以上で、先入観がぶっ飛んだ。




フライングモールも低域端が弱いが、これもデジタルアンプの音ではない。
ボーカルのニュアンスが出にくいなんてことは全くなかった。

一番中庸で一番好みなのは、30年くらい前の金田式アンプ。
電池駆動だが、カーオーディオ用のキャパシターをかませており、弱々しさは全くない。
過去に何度か自宅にも持ってきてくれ、一緒に音決めをしたこともある。

これらを聴いて解ったが、もはや方式論争などは全く無用で、手を掛けて気合を入れて作ったものは、素晴らしいということであった。




素子の音


オーディオ機器に使われている抵抗やコンデンサーなどの素子が、同じ値でもメーカーや種類によって音が変わることは良く知られている。
マニアの方のサイトを見ると、「コンデンサーを**に差し替えた」とか「オペアンプは**が良い」などと書いてある。
私もスピーカーのネットワークくらいは自分で組むので音が違うことは解っているが、アンプやDACの素子は換えようとも思わないし、第一技術がない上に、老眼で無理である。
せいぜい細い電源ケーブルが付いていれば太いものに変えるか、どうしても素子を替えようと思えばハンダ付けの出来る友人にお願いするしかない。


話は変わるが、手元に以前オークションで数千円で落札した自作のノンオーバーサンプリングDACがあった。
このノンオーバーサンプリングというのは、47研なども採用している方法で、出力にアンプ部分を持たない。
シンプルと言えば聞こえが良いが、波形を見るとかなり階段状で拙い。
音は、良い意味では素のままだが、荒っぽくて好みに合わない。
ラックに置いてあったが、ほとんど使っていなかった。
ところが先日友人が同じものを落札して、素子をオーディオ用の高級品に替えたものを持って来てくれた。
これを聴いて驚いた。
同じDACとは思えないほど音が違う。
まるで月とすっぽん(かっこ良さではもちろん私の方が月だが)、少しへこむくらいであった。
いっそのこと、このままゴミ箱行きかとも思ったが、かろうじて思い止まった。
使っている素子は、コンデンサーがウイマ、抵抗がデールの高級品だそうである。


私も素子を差し替えたいが、何が音が良いか解らないし、友人の素子はかなり高価で、値段を聞いて諦めた。
と言うか、そもそもハンダ付けが出来ない。


そこで、メールで和歌山の「匠」に相談。
「匠」はDACの自作は50台、アンプも自作、チャンデバも自作、根っからの技術者である。
このような無理なお願いにも拘らず、快くお招き頂いた。
そして「来る時に、ネットワーク用で音の気に入ったフイルムコンデンサーを持ってくるよう」に言われていたので、急いでサウンドアテックスに発注。
「お金は間違いなく払うから、直ぐに商品を送って下さい」
こんなお願いにも気軽に応じてくれるところが、サウンドアテックスの素晴らしいところである。(いつもすみません)


さて約束の日になって「匠」宅を訪問。
「この素子とこの素子をこうしようと思うがよいですか?」
「お、お任せします」

「匠」は電解コンデンサーを何本かOSコンに交換、抵抗をビスパに交換。
入力ケーブルを同軸に交換。
出力ケーブルを無酸素銅に交換。
最後に、出力のところに付いていた電解コンデンサーを私の持参したフイルムコンデンサーに交換。
フイルムコンデンサーは基盤に比べてあまりにも大きいのでどうして付けるのだろうと思っていたが、外したコンデンサーのところはあっさり銅線で短絡させ、基盤の出力端子とシャーシのRCA端子の間に装着。
「電気的にはどちらに付けても同じです」
「そ、そうですか」


そして出て来た音は、、、、、、、「匠」も驚かれるくらい音が良くなった。
素子の差し替え前は、荒っぽく音が前に出てくる割には情報量が少なく、とても「匠」の38センチウーファー/2インチドライバーに耐えられるものではなかったが、交換後は情報量も増え、レンジも広がり、荒っぽいと言うより若々しい音になった。
好き嫌いもあるが、私のレベルでは充分にサブとして使えそうである。

それにしても、素子でここまで音が変わるとは、、、、
まあ、ただ差し替えるのではなく、差し替える場所の選定や新しい素子のチョイスは、私には解りようもないノウハウがあるのだろう。


内部写真を載せておくが、数センチ四方の小さなDAC基盤に、このフイルムコンデンサーは、、、、カッコいいと思うのは多分全人類で私だけだろう。(60億分の1)







人生最後のパワーアンプ


もうこの歳になると、オーディオ製品の寿命について考える。
若い頃のように、だんだん給与が上がって人生が金銭的により良くなるとは思えないから、必然的にオーディオ機器を長く使うことを考える。

それでも、DACは年々進化するし、プレーヤーなどの回転部分は使っている間にガタが来るのは仕方あるまい。
問題はアンプだ。
ただでさえ重いのでそうは入れ替える気にならないし、第一高価で頻繁に入れ替えられるものではない。
また、アンプはもう何年も音が進化したとは思えないから、その面でも良いものを長く使いたい。

ところが、聞くところによると、ソニーやNEC・日立などの大手メーカーは7年間とか8年間で補修部品を処分してしまうらしい。
まあ、法定通りだから仕方が無いが、高価なアンプも修理が効かなければ、使い続けるのにかなり不安だ。
NECなどオーディオそのものから撤退しているから、サービスセンターに電話すると「うちはそんな商品はやっていません」といわれる始末である。
また、言いたくはないが、専門メーカーでもP社やL社など、「本当に修理して欲しい10年後は会社はどうなの?」と思ってしまう。

そこで、なんとか個人やガレージメーカーで手持ちのアンプの修理に対応出来ないかかなり当たったが、修理している人はたいていがメーカーを退職した高齢の技術者の方である。
たまに若い(と言っても中年の)方もおられるが、オーディオ機器の修理が本業の方は多分儲からないだろうから、逆に廃業される危険もある。

色々考えたが、なかなか良い方法がない。
オーディオの友人に聞いても、その面ではかなり困っている。
そしてみんなが口をそろえて言うには「やはり最後はA社かなあ〜」
アキュフェーズである。
アキュフェーズはかなりかなり以前の製品でも、誠意を持って修理してくれるらしい。
私も以前アキュフェーズの製品(プリアンプ)を使っていて言えた義理ではないが、外観にお金が掛かり過ぎている気がするし、同じグレードなら他社製品より割高感もある。
私は貧乏性だし(というか貧乏だし)、コストパフォーマンス重視のポリシーにも反する。
それでも、今回背に腹は代えられず、泣く泣くアキュフェーズのパワーアンプをオークションで落札した。
P-1000である。
1990年代の最後の頃のアンプで、アキュフェーズとしても、一番音に好感が持てた時代のものである。

このアンプを落札するため、手持ちのサンスイの907MRや逸品館のアンプ、業務用のDAC、電子ボリューム、オーラルシンフォニクスも処分した。
もちろん現用のアンプも処分するつもりである。
万が一アキュフェーズが故障したら、修理の期間中に聴くサブアンプすらない。

かなり葛藤もあったが、まあ、これから人生の終期に向かう中、必要なものと必要でないものを区分し、シンプルにするのは案外良いことかもしれない。







現在のメインスピーカーについて


私の現在のメインスピーカーは、もう7〜8年前に作ったものだがかなり気に入っている。
一番のコンセプトは中域にネットワークが入らないことだ。
中域は色々検討したが、8センチや10センチでは音は細かいものの音量不足。
そこで音量不足を補うため8センチは8発までいったが、今度は数が増えれば増えるほど音がにじんでしまう。
逆に20センチでは、物にもよるがウーファーの能率が足らないし、少し大味だ。
試行錯誤の上、最後に選んだのがFE168E狽ナある。
音量的には充分なものの、能率が94.5dbもあり、当初手持ちのJBL136A(93db)などを組み合わせてみたが、とてもじゃないが能率不足で話しにならない。
そうこうしているうちに、オークションでラムザ(テクニクスのプロ用ブランド)の38センチウーファーを落札した。
このウーファーはfゼロが20Hz、能率が99dbという優れものである。
これを160リットルの箱に入れ、コイル一発で使う。
能率はちょうど良いくらいである。
ツイーターはたまたま手元にあったディナウディオの330Dでコンデンサー1発でうまく繋がった。
バブリーな頃の遺産で2本で10万円くらいしたと思う。
また、後になって、この上にさらにフォステクスの925をスーパーツイーターとして加えている。


作ってすぐの頃、仲の良い友人が聴きに来て、「同じスピーカーを作って欲しい」という依頼があり、どうしてもラムザのウーファーが無いため、同じテクニクスの38L100で代用した。
こちらもfゼロが21Hz、能率が98dbというもので、フレームやマグネットはほぼラムザと同じ、コーン紙にコルゲーションが入っているので能率が1db低いのだろう。
こちらも中域とうまく繋がり、ツイーターはディナウディオがディスコンなので、スキャンスピークの高級品である9700を使い組み上げた。



それから5年以上経ち、最近になって、今度は別の友人が、また「同じものを作って欲しい」と言ってきた。
作るのは良いのだが、もうラムザのウーファーはおろか、テクニクスもオークションに出て来そうにない。
ユニットが無いからと言って保留になっていたが、その友人は執念で、1年がかりでオークションで38L100を見つけて落札した。
中域は現行品なので購入し、高域は友人の持ち込んだホーンツイーターが断線していたため、予算の関係もあり手持ちのものを含めて何種類もテストした結果、デイトンのシルクドームに落ち着いた。


さて出来上がってきたスピーカーだが、これが、ツイーターを除いては、私や最初に作った友人のものよりかなり音が良い。
それもそのはず、同じものといっても正確に再現したわけではなく、せっかくだからと、ここ5〜6年の間に蓄積したノウハウを投入した。
補強の入れ方や吸音材など、色々な部分でかなり進化している。
つくづくスピーカーは生き物であると再確認することになった。

それにしても、今時38センチ160リットルなどという物を使う、奇特な人間がいるとは、、、
使う方も使う方なら、作る方も作る方で、、、、、、これ以上は言うまい。








「匠」のDAC


和歌山の「匠」とはご縁があって、仲良くさせて頂いている。
先日もボリュームを作るのに「音の良い抵抗は何ですか?」などとメールでやり取りしていたが、やり取りしているうちに話は必然的にDACの話題になる。

私の今のメインDACはフィデリクスのカプリースで、これは今最高に音が良いと言われている9018という素子を使っている。
非常に情報量が多く、CD特有の高域の硬質感が無く、これならアナログ(LP)が無くても良いかなという感じである。

ところが「匠」がおっしゃるには、この素子がダブルで使える1枚基盤が出たという。
それまでは、シングル基盤をわざわざ2枚使い、無理やりダブルにしていたとのこと、、、またこの基盤は電源がひとつで済み、今までよりローコストに出来ること、、、、またこのDAC用のローノイズ電源基盤が最近発売されたこと、、、、、、諸々の条件が重なり「今なら過去最高のDACが出来る」らしい、、、、
「どうしますか?」、、、、、、、、、、どうしよう???

よせばいいのにチラッと値段を聞いてみると、、、、、微妙に安い。(もちろん「匠」はアマチュアなので、部品代のみである)
ただしこの時点では、私も「プロ(フィデリクスの中川氏)が作った9018シングルのカプリースと、アマチュアではもちろん最高だと思うが「匠」が作った9018ダブルではどちらが良いのだろう?」くらいに思っていた。

微妙に安いが、それでも懐具合が、、、、、正直に「匠」にそう言うと、「以前お分けしたFM1242のDACをオークションで処分したらどうですか?」(う〜ん、悪魔の囁きに聞こえる)、、、、、この一言が引き金になった。
以前からお世話になり信頼している「匠」がそこまで言われるなら、、、ということでお願いすることになった。


「匠」のお人柄か、「基盤がいつ入荷する」とか「入力端子の種類はどうするか」とか「ボリューム機能は必要か」とか「とりあえず音出しが出来た」とか、細かなやり取りをして頂く。

基盤がかなりリリース待ちということだったが、意外に早く来て、さらに基盤が来てからが早かった。
ほんの3〜4日くらいで、もう音が出ているというメールが来た。
こちらも早速次の日曜日にお伺いした。


現物を見てまず外観に驚いた。
DACとしてはかなり大きい。
持たして頂くとずっしりと重い。
それに前面に液晶の表示か付いていて、「どの入力に繋がっている」とか「何ヘルツでロックしている」とか表示される。
とても、アマチュアレベルの作品とは思えない。

しかし問題は音だ。
早速「匠」の38センチウーハー/2インチドライバーで聴かせて頂く。
「匠」のこと、試聴もただ装置の中に組み込むだけでなく、他の手持ちのDAC「1704」とか「1242」とか何種類かのDACとの聴き比べをして頂いた。
「1704」の骨太な音も良かったが、私の耳にはダントツで9018ダブルが情報量が多くしなやかで気に入った。
そして、お昼ご飯もご馳走になり、さらに遊びに来ておられたご友人宅にも招かれ、一日楽しく遊んで、しっかりとDACを抱えて紀州路快速で帰宅した。


翌日が祝日のため、朝からおもむろにDACを繋ぐ。
「匠」の家では良かったが、最終的には自宅でどう鳴るかだ。
電源は帰宅時から入れっぱなしである。
まずカプリースを、、、、、、いいねえ、、、、しなやかで、、、、、
そして9018ダブル、、、、、、音を言葉で言い表すのは難しいのであえては書かないが、カプリースが二度と同じ棚に戻ることは無かった。

そして昼から、同じカプリースを使っている友人が聴きに来る、、、、、、声も出ない。

さらに翌週、他の友人宅へ持ち込んで試聴、さらにその友人と一緒に知り合いのメーカーさんへ、、、、みんな絶賛だった。

情報量が多く、過去聴いたことのない音が聴こえて来る。
このCDはこんな音だったんだ、、、、


至福の時が流れ、しばらくすると「匠」からメールが、、、、「アナログ基盤用のローノイズ電源がリリースされ、交換するとさらに情報量が増えますが、どうしますか?」、、、、、、、

今度は意思に関係なく体が反応した、、、、、「お、お願いします」









ホーンスピーカー


オーディオをやっていて一度は憧れるのがホーンスピーカーである。
パラゴンやハーツフィールドなどの古典的スピーカーに始まって、アルテックのA-7・JBLのモニターシリーズ・タンノイのオートグラフに至るまで、低域や中域にホーンを使っている。

ところが、過去に何度かホーンスピーカーに挑戦したがうまくいったためしがない。
バックロードは言うに及ばず、フロントロードや中域のドライバーユニットなどさんざんやったが、今から思えば決していい音ではなかった。
何とか物になったのが、中域のドライバーに音響レンズをつけたものだった。
割といい具合に音が拡散してくる。
反面、肝心のホーンの良さである音のストレート感はかなり後退する。
そうこうしているうちに、私の興味はヨーロッパ製のスピーカーに移行し、いつかホーンは使わなくなっていた。

最近になって、たまたまオークションを覗いていたら、昔使っていたフォステクスのドライバーが格安で出品されていた。
何気なく入札しておいたらそのまま落札出来てしまった。
さらにこのドライバーには樹脂製の横に長いホーンが付いていた。
ホーンにはホーン鳴きがあり、昔はどうしてもこのホーン鳴きを止めることが出来なかった。
付いていた樹脂性のホーンは、思っている以上に薄くて頼りない。
このホーンを見ていて閃いた。
薄くて頼りないから、逆に鳴きも止め易いのではないか?
そこでこのホーンを箱に入れ、中に園芸用の五色石を充填した。
そんなに入るとは思わなかったが、片方で20Kgくらい入った。
ウーファーは38センチでは置き場所が無いので30センチ、更にツイーターも追加した。
30センチと言っても内容積は90リットルくらいあり、さらにその上にホーン部とツイーターが乗り、堂々とした大型スピーカーである。
ネットワークにはさんざん苦労したが、何とか完成させた。

やはり、かなりストレートな音である。
鳴きは少ないが、音がリスナーに向かって飛んでくる。
良いところも多いが、使い方に苦労するスピーカーだ。



翌週、早速友人が聴きに来てくれた。
この友人はスピーカーをかなり評価してくれ、「いい音だ」と言って帰っていった。
そして1週間もしないうちに、この友人から電話がかかって来た。
「ホーンスピーカーを貰ってくれる人が見つかりました。」、、、、、、、まず、そんなん頼んでないし、、、、
ところが話をよく聞いて驚いた。
あまり音が良かったので、友人の音楽好きの女医さんに話したら、今度京都の下鴨で完全防音の地下二十数畳のリスニングルーム兼ピアノルームを新築するのでそこで使いたいとのこと。
私も悩んだが、せっかくのご縁でもあり、幸いにも材料代も負担頂けるとのことで、お譲りすることにした。

そして数ヵ月後、スピーカーを赤帽に乗せて一緒に搬入に行った。
玄関を開けると、目の前に真っ直ぐ下に降りる階段がある。
階段を下りると、防音ドアが、、、、これが通常に力ではピクリともしない。
そして数十センチおいて、さらに防音ドアが、、、、
中に入ってさらに驚いた。
壁はおろか、天井も湾曲していて平行面がどこにもない。
聞くところによると、家の建築士以外に、リスニングルーム用の専門の設計士を入れて、その設計料だけでも*百万円とのこと、、、、、、

そして紹介してくれた友人も含めてみんなで試聴。
スピーカーが我が家とは見違えるように歌い出した。
何しろ空間が広いし、距離も取れる。
定在波は一切ない、、、、、、残響はピアノを弾くにはやや少なめ、スピーカーを聴くにはやや多めというところである。

ホーンスピーカーは距離をとって良い条件で鳴らすと、ここまで鳴るかということを痛感した。
良い音である。








ボヤージュMDP稼動


私のPCオーディオだが、その後も部品を変えたり新しいソフトをインストールしたりしているが、いっこうに良くならない。
いや正確には少しずつ良くなっているのだが、なかなかCDトランスポートには追い付かない。
同じDACに入れているので「正しいデジタル信号を入力する」だけだが、それがなかなかうまくいかない。

PCオーディオには二つの考え方があって、出来るだけ使用電力の少ない「軽い」ものとCPUの能力を上げた「重い」ものである。
それぞれ一長一短で、最新のソフトを使おうと思えば、CPUの能力の低いものはうまく動作しない。
私のCPUはアトムと言うXPではギリギリの軽いものを使っている。
「いっそのこと、CPUの能力を上げて最新のソフトを使おうか」とも思ったが、そのままになっていた。


そのうち友人が面白い話を持ち込んでくれた。
この友人は、学生時代からのマニアの友人だが、本職はパソコンのSEである。
今でこそ勤めているが、以前は自分で会社もやっていた。
その友人が「ボヤージュMDPという方法で、再生はリナックスで行い、制御とデータ管理はウインドウズで、ラン経由で再生する」というものが音が良いらしいと言う。
ミソは、再生がリナックスなので、かなり軽いCPUで再生出来ることだという。
原理はおぼろげに解ったが、「リナックス」「コマンド」「ネットワーク」などと聞いただけでもお手上げである。
とりあえず任せるということで組んでもらうことになった。


まずこの友人が探してきたリナックス用のパソコンは「シンクライアント」と言うもので、日本橋のジャンク屋で僅か1000円ほどで買って来た。
安いのはありがたいが、ジャンクなのでうまく動作せず、結局3台買って1台しか動かなかった。
と言っても3000円である。
このパソコンにはハードディスクなどは無く、XDカードをハードディスクの代わりに使うという。
リナックスなのでそれで良いようだ。
電源も12Vのアダプターで、付属のものはスイッチングだったので、オーディオ用(正確には楽器用でオーディオ用として定評のあるもの)のトランス式に変えたら難なく稼動した。
そして今まで使ってきたウインドウズXPをそのまま制御とデータ管理用に使う。
二台のパソコンはランケーブルで繋ぐ。
出力はUSBのみなので、手持ちのDACに入れるため、新たにハイフェースというDDコンバーターを購入した。
まあ、オークションで一万円以内である。
このボヤージュという方式はなかなかDDコンバーターを認識せず、かなり苦労してハイフェースを認識させていた。(らしい。←他人事です。)


何度も来てくれ、失敗しながら、とうとう音が出た。
ボヤージュの音は、言っては悪いが今までのウインドウズの再生とは次元が違う。
かなりCDトランスポートに近くなった。
特にCDをリッピングすると、リニアに再生するより音が細かくなるようだ。
やはり、リニアに再生する場合は読み取りエラーがあるのか、、、、
ただ、PCらしいざわつきは僅かだが残っている。


そこで、信頼しているフェデリクスが出しているUSB用のノイズフィルターとバスパワー電源を購入した。
これでかなり静かになった。
もうCDトランスポートといい勝負である。


その後、リナックスがシャットダウンしなかったので(電源を切ると切る前の情報を覚えていない)、シャットダウン出来るようにしてくれ、さらにいらない機能を削除し、バイアス(?)の調整をしてくれ、使い易さも向上し、音もさらに良くなった。


それにしても、、、である。
私のCDトランスポートでも、なんだかんだと言って数十万円掛かっている。
今回使った費用は僅か四万円くらい。
多分技術の進歩でだんだんこうなっていくのだろう。
その時、オーディオが趣味として残っているかは別問題として、、、、、