JBLトールボーイスピーカー                             

何を隠そう、JBLこそわが初恋の人である。
その甘い囁きに何度胸を焦がしたことだろうか、、、

JBLに憧れた若き日の私は、38センチウーハーを手に入れ、1インチドライバーを手に入れ、ついには400リットルバーチカルツインにまで行き着いた。
JBLと言えばホーンは「蜂の巣」、とても買えないので「蜂の巣」を自作した。
JBLとは20年近くの長い長い付き合いだったが、30歳半ばになった私は、その少しやんちゃな音について行けなくなる。
そして、別れの時がくる。

それから、何年か経ってJBLに再会する。
昔は無かったバイラジアルホーン、ボーカルが抜群だという13センチフルレンジ、、、しかしどれも私のメインシステムに収まることは無かった。
もう私の耳にはその「少しやんちゃな音」を受け付けなくなっていた。
私の好みは落ち着いた「大人の女性」になっていたのである。

また、長い長い年月が経って三度JBLとまみえることになろうとは、、、、、、
今度は最初からメインシステムではない。
オークションで「コントロール1」のエッジの無いぼろぼろのユニットを4本落札した。
まずこれにエッジを張る。
20センチ以上のユニットでは何度も経験しているが、10センチユニットには手を焼いた。
指が入らないのである。
いかに自分が器用かを実感する。

これはフルレンジで使うが、能率を落とすために2本シリーズとする。
そこへスーパーウーハー・スーパーツイーターを加える。
スーパーウーハーはKLHの16センチ、スーパーツイーターはオンキョーのドーム型、いずれもオークションで格安で落とした。
コイルは思い切って3.6mH、多分計算値よりかなり小さいと思うが、若干中低域が盛り上がっている方がJBLらしくて良い、というのは表向きの理由で、手持ちのコイルがこれしかなかった。(やってしまってから後から理由付けを考えるのは得意技である)
ツイーターのコンデンサーには苦労した。
コントロール1のユニットが思った以上に高域が伸びていない。
多分エッジを鹿革で張り替えたことも影響していると思う。
試行錯誤を繰り返して5000Hz位からツイーターを鳴らす。
中域にはネットワークを入れない。

エンクロージャーは縦長のトールボーイスタイル、中域のエンクロージャーはいつものように後板にドリルでいくつもの穴を開ける。
低域はオーソドックスなバスレフ、今回はスリットタイプとした。

ところで、吸音材の調整のときに面白いことを発見した。
いつものように、フェルト、脱脂綿、スリップ防止の網のようなもの、色々試していくうちに、定在波が気になったので、あまり吸音せずに定在波だけを取りたい場合、ティツシュを軽く丸めて入れると結構効果があった。
吸音材もユニットが非力な場合あまり入れすぎると音が死んでしまうことがある。
そういった場合にティツシュは割と有効である。
余談になるが、あと試してみたい吸音材に「ダウン」がある。
絹のオーガンジーで包んで入れると面白いかもしれない。
(今度ダウンジャケットがボロボロになって捨てる時にやってみよう)

バッフルはいつものように布張り、ウーハーのバッフルは12ミリのボルトを後板まで貫通させて締め上げる。
エンクロージャーの中には御影石のレンガ状のものが入っている。
なお、今回はウーハーのフレームが鉄板プレスだったので、締め上げるときは充分注意した。
鉄板プレスのユニットは、締め上げすぎて過去に何度もユニットをぶっ壊してる。(まあたいていは万力で挟んで元通りに引っ張ったりしているが、、、)
中域のバッフルはエンクロージャーに、8ミリの鬼目ナットを打ち込んだ。
あまり力はかからないが、交換には便利である。
中域のユニットの後ろはパーチクルボードを縦に渡し、マグネットを支えている。

さて、肝心の音である。
思ったとおり、中域は細かい音があまり出てこない。
これは、過去にも色々試したが、たいていのフルレンジは中域だけを取れば結構大味である。
有名なB社のユニットも例外ではない。
高域は、オンキョーのツイーターは割りと細かい。少し非力かな、、、?
低域は16センチだからそれなりである。

まあ、普通のスピーカーなのだが、出てくる音はなぜかJBLなのである。
私の好きなJBLの色気を残している。
これが何故だか解らない。
逆に今JBLが市販している最高級のスピーカーは、私にはこの色気がある様には聴こえない。
不思議だ、、、?

多分JBLとは今後も出会いと別れを繰り返しながら、一生付き合っていくのだろう。
そんな気がする。