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スピーカーについて思うこと

スピーカーは面白い。
よほどのことがない限り何をしても音は出る。
段ボール箱であろうと発泡スチロールであろうと、ユニットを取り付ければ立派なスピーカーだ。

しかしながら、もうこんなことを何十年もやり、二百とか三百とか自分でも訳のわからないくらいスピーカーを作っていると、色々判ってくることがある。

スピーカーには色々なタイプのエンクロージャーがある。
平面バッフルや密閉、バスレフ、ダブルバスレフ、バックロード、フロントロード、無指向性、ヒドラタイプ、、、
雑誌の記事などを読み、その場その場の思い付きで作ってきたが、これだけ作っているとエンクロージャーのタイプによりそれぞれ独特の音があるのに気付く。
誤解を恐れずに言うと、エンクロージャーが複雑になればなるほど独特の音になる。
ダブルバスレフやバックロードなどがその際たるものだ。
このような「ある種の共鳴音」を利用したものは、独特の音にならざるを得ないのだ。
その音が好きか嫌いかは別として(またそういった多くの自作スピーカーを作られた長岡さんは私も大好きだし尊敬しているが)、一聴してそれだと判る形式は、どうだろう?
私も若かりし頃は「ミューズの方舟」にも少しだけ参加させて頂き、前田さんを初め多くの方に大変お世話になったことがあったが、そのことについての感謝は今も忘れない。
また、バックロードやダブルバスレフが好きな人に対してどうのこうの言うつもりも毛頭ない。
しかし、私の耳にはその音が独特の音に聴こえる。
また、密閉は一番基本的な形式のようだが、私の耳にはどうしても詰まって聴こえる。
それでは私は何が良いと思っているかだが、現時点ではバスレフが一番素直に聴こえる。
ただし、バスレフもダクトの共鳴音があるから、出来るだけ50Hz以下にするか、それでも気になる場合はウレタンやタオルで共鳴音を殺してしまう。
それでは低音が出ないではないかと思われるが、Fゼロの低いユニットを使えばある程度は何とかなる。
また中域についても、密閉とせず「息抜き」の穴を開けている。
そのほうが音が重苦しくならない。

以前私はヨーロッパのさまざまなユニットを使っていたことがあったが、ヨーロッパのユニットは同じフレームやマグネットで振動版の材質だけ違うというものが多くある。
紙もあるし、ケプラーもあるし、ポリプロピレンもあるし、同じポリプロピレンでも黒いものもあるし透明なものもある。
とっかえひっかえ聴いていると、それぞれ素材によって独特の音がある。
それ以来私は市販品のスピーカーを聴いても、その素材の固有の音が耳につくようになった。
私が一番好ましく感じたのは、ハイテク素材でもなんでもなく、紙だった。
紙かそれをベースにしたものが一番素直に感じられた。
(当たり前だが、紙なら何でも良いというわけではなかった。)
現在私はフォステクスを中域に使っているが、フォステクスも私がメインシステムに使い出したのはEシリーズになってからである。
そのEシリーズでもすべて良いという訳ではない。


昔からボーカル物が好きだった。
今でも一番良く聴くのは女性ボーカルだ。
ジャンルにかかわらず、ボーカルはいい。
ジャズでもポピュラーでもボーカルはいい。
若かった頃、私がJBLに惹かれたのも、多分その分厚く奥行きのあるボーカルが好きだったからのような気がする。
よくスピーカーは低域との戦いであると言われることがあるが、私は中域との戦いだった。
癖のない染み渡るようなボーカル、、、、、
それは、まず中域にクロスのあるスピーカーでは不可能だった。
音程が変わると音の質感が変わる。
金属を使った振動板でも不可能だった。
金属の独特の響きがある。
ホーンドライバーも長く使ったが、他の機器のグレードが上がるほど馬脚を現した。
では何が残ったか?
残ったのは、500Hz以下まで使えるクロスドームと、本当に一握りのフルレンジだった。
クロスドームは、ユニットならディナ、市販品ならPMCなどが印象に残っている。
フルレンジの分解能はクロスドームの中域より落ちるが、こちらはネットワークが入らないストレートさがある。
以前は小口径のフルレンジをネットワークで低域をカットして中域に使おうと考えたこともあったが、それでは全く意味がない。

ユニットは色々なものを使った。
国産もアメリカ製もヨーロッパ製も使った。
そのうち、ユニットの外観によりある程度だめなものは判るようになった。
まず、ウレタンエッジのものはだめだった。
JBLの38ウーハーでさえ3年ぐらいでエッジが破れてきた。
2回くらい張り直したが結構高価だったので馬鹿らしくなった。
フルレンジでメタルドームのものもだめだった。
メタルドーム独特の鳴きがある。
フルレンジでサブコーンのついているものもだめだった。
サブコーンのついているものは、中高域に独特の暴れがある。
ホーンもだめだった。
大型ホーンだけでなくショートホーンやバイラジアルも使ったが、コーンの低域とうまくつながらない。

エンクロージャーについては、長年積み重ねた独特のノウハウがある。
まず、ユニウエーブの経験から、ユニットの後ろに錘をつけたものはかなり音が良くなる。
もちろんユニウエーブのように真鍮なら良いかもしれないが、いちいち真鍮を特注していられないので、私は御影石を使っている。
今は御影石が安く手に入るようになった。
わずか数百円である。
エンクロージャーの仕上げは、ブチルや両面テープでビロードかそれに準ずる布を張る様にしている。
これは、絨毯やら何やらさんざん試し、やっとこの方式に落ち着いた。
絨毯を張っていた頃は、よく友人から、「仕上げをすると見掛けが悪くなる」と言われたものである。(どういうこっちゃねん)
しかし、エンクロージャ−の外側の余分な響きを取ると、かなり音が静かになる。
吸音材はフェルトや綿を用いている。
以前はグラスウールやロックウールを使っていたこともあったが、使いにくいうえ音がやかましくなる。(しかも、ちくちくするからイヤ)
場合によっては、絹のオーガンジーで真綿をやんわりくるみ、側面ではなく中間のあたりに入れることもある。
この辺はカットアンドトライである。
いずれにしても吸音材なしでは、中の反射の音がそのままコーン紙を通じて聴こえてくる。

ネットワークは難しい。
特に12db/octのものなど、素人が電卓で叩いただけではまずうまくいかない。
今なら販売店でも相談に乗ってくれると思うが、私は基本は6db/octだ。
また、素子によって同じ値でもかなり音が違う。
コイルは音が詰まったり雲ったり開放的になったりという変化だが、コンデンサーは明るくなったり沈んでしまったりハイ上がりになったりと変化が大きい。


というわけで、私の考える音の良いスピーカーは、以上の条件を少しでも多く満たすものになる。
最近では、僅かではあるが喫茶店で使って頂いたり、制作依頼があったり、マニアの人に使って頂いたりしているが、さあ、満足して頂いているだろうか?