ステレオ誌応募スピーカー2013                             

今年のステレオ誌のコンテスト用スピーカーは、スキャンスピークながら僅か5センチである。
私も自作暦は長いが5センチというのは経験がない。

さてどうしたものか?
一瞬オーソドックスにいくより、ロフトにでも行ってエンクロージャーになりそうな綺麗なケースでも探して卓上スピーカーを作ろうかとも思ったが、思い止まった。
私にデザインのセンスは無いのだ。
最近でこそ言われなくなったが、以前は友人達から「お願いだから仕上げはしないで欲しい」などと言われていた。

仕方が無いので下記の様なスピーカーを作り応募した。


以下、応募した原文のまま載せる。



今年のステレオ誌の付属ユニットはわずか5センチです。

スピーカー工作歴何百作の私も、今まで5センチは経験がありません。

それもスーパーウーファーやスーパーツイーターを使わず、一発となるともうこれは未知の世界です。


このユニットの使い方で考えられる方法としては、低域は欲張らず小型密閉箱やマルチポートなどにしてボーカルを中心に聴く方法と、ホーンやダクトを用い出来る限り低域を伸ばす方法です。

前者は付帯音が少なく、より綺麗なボーカルが聴けそうで、音楽全体のバランスをうまく取ろうとすれば後者になります。

設計の楽しさ工作の楽しさはもちろん後者ですから、迷わず後者を選びました。


さて低域を延ばすのは、ホーンか、ダクトか、共鳴管か、、、、、

ホーンも面白そうなのですが、私は数年前から「マルチバスレフ」という独特の方式を研究しており、もう優に15作以上作っています。

この方式は、簡単に言うとダブルバスレフの副空気室を並列に増やしていったもので、副空気室が二つならトリプルバスレフになり、内部ダクト2本外部ダクト2本の4つの共鳴を持つことになります。

副空気室が3つならフォースバスレフ、4つならフィフスバスレフとなります。

フィフスバスレフなら共鳴は8つになります。

「マルチバスレフ」は私の独特の方式といいましたが、実は私の友人のS氏が特許を取っており、もう特許番号も出ています。

技術的裏付けは充分にあります。


さて設計ですが、小型ユニットの良いところは各エンクロージャーの容積を小さく出来るところです。

このユニットなら、ひとつの空気室で1.5リットルもあれば充分そうですが、余裕を見て2リットルを目途としました。

副空気室は欲張って4つにしました。

フィフスバスレフで、共鳴は8つとなります。

それでもエンクロージャー全体では10リットル強で出来ます。

過去に色々研究した結果、内部ダクトは4本の総面積がユニットの振動版面積と同じくらいが限度で、外部ダクトはもう少し大きくてもいけるみたいです。(浅生さんのダブルバスレフも試聴会で見せて頂きましたが、こんな感じですね)

私の「マルチバスレフ」は内部ダクトの共鳴を低く取り、外部ダクトの共鳴を高く取るのが原則ですので、今回は外部ダクトが135Hz・115Hz・95Hz・80Hz、内部ダクトが67Hz・58Hz・51Hz・45Hzとしました。

内容積は、主空気室が2.5リットル、副空気室4つがそれぞれ2リットルとなっています。



エンクロージャーの高さは約65センチ、上部の13センチほどが主空気室、その下は均等に4分割して縦長の副空気室となっています。




ダクトは前面に持って来たかったため、後のエンクロージャーのダクトは、前のエンクロージャーを貫通して、前面に出ています。






ほぼ組みあがったところです。

底板は安定性が良いようにやや大きめとし、あとで副空気室の吸音材を調整出来るような構造になっています。


仕上げは、白のペイントとしました。

ところが真四角で細長く、あまりにも殺風景です。

何か良い案はないかと色々思索した結果(と言っても100均を何軒もうろうろしていただけですが、、、)、面白いデコレーションシートがありましたので貼ってみました。

最初は少しだけ貼ったのですが、まあ麻薬みたいなものですね。

どんどん数が増えていき、訳が判らなくなりました。

このスピーカーは、お子様や女性の方にも喜んで頂けるコンセプトうことにしておいて下さい。(笑)


ペットネームは「ファンタジー」としました。







世の中というのは判らないものである。
実はこのスピーカー、無事予選を通過し、東京の本選に行くことになった。