ステレオ誌応募スピーカー 2011
                             
今年も7月号のstereo誌にスピーカーユニットキットが付いていた。
去年と同じく、今年も自作コンテストをするという。

今年は8センチで、昨年の6.5センチよりレンジは広そうである。
若い頃は何回かスピーカー自作コンテストに出したことがあったが、もう何を今更、、、、、、この歳になってまで恥を掻きたくない、、、、なんてことも無く、やはり根っからの関西人、「使わな損」である。

以下、応募した原文のまま載せる。




マルチバスレフ「ショベルローダー(アバンギャルド風)」


今年もstereo誌に付属ユニットが付いている。

昨年の6.5センチのユニットはことのほか良かったが、今年は8センチユニットだ。

昨年のユニットは、空気室が4つある「マルチバスレフ」を製作し音はかなり気に入ったが、いかんせん音量が出ない。

今年は8センチなので、音量的にはうまく行けば倍近く出るのではないか?

これは楽しみである。


私が最近良く作っている「マルチバスレフ」は、名称は私が勝手に名付けているだけだが、友人のS氏が特許も提出済みで、理論的裏付けもある。

簡単に説明すると、長岡鉄男氏のダブルバフレフの副空気室を並列に増やしたもので、ひとつの主空気室に対して、2つの空気室のものはトリプルバスレフ、3つの副空気室のものはフォースバスレフ、4つの副空気室のものはフィフスバスレフとなる。

フィフスバスレフともなるとダクトが主空気室と副空気室をつなぐものが4本、副空気室から外に出るものが4本と、合計8つの共振を持つことになる。

私も及ばずながらこの方式を出来るだけ多くの人に聴いて頂きたいと思っている。


私はもうこの方式で7〜8作品作っているが、まず第一にこの方式は低域の量はユニットに大きく左右される。

ゴールデンウイークに同じエンクロージャーに幾つかのユニットを付けて実験してみたが、やはりQが低くハイ上がりのユニットではうまくいかない。

かといってあまりウーファー型のユニットでは音が重くなってしまう。

コーン紙(m zero)は重い必要はないが、能率が低く中高域が穏やかなものが良いようだ。


次に、この方式から出てくる低域は、「軽い」低域である。

音が風の様に出てくる。

その分「ドスン」「バスン」というぶつかってくるような低域は出てこない。

国産のブックシェルフとは正反対の、生楽器のような自然な低域である。


第3に、意外なことだが、副空気室は数が増えたからといって、特におかしなことにはならない。

私はトリプルバスレフから、フォースバスレフ、フィフスバスレフまで作ったが、低域の量は増えても特にデメリットは感じなかった。

主空気室からのダクトの総面積がユニットの振動板面積と同じくらいになっても、出来の悪いバックロードの様に音が「ボーボー」になるということはない。


最後に、この方式のミソは、ダクトの共振の取り方である。

共振点がいくつもあるからといって低域を欲ばり過ぎると全体的に低域の量感が不足する。

8センチで30Hzとか欲張るとうまくいかない場合が多い。


なお、中のダクトの共振と外のダクトの共振の関係は現在実験中であるが、S氏は長岡鉄男氏と同じく中のダクトで高い周波数を共振させる方法だが、私は中のダクトを低く取り、外のダクトを高く取った方が自然に聴こえる。

また、せっかくのマルチバスレフなので出来るだけ低域の量感を出したいと思い、私はいつもダクトにショートホーンを付けている。

少しでも低域の後方への回り込みを少なくするためである。




今まで作ったマルチバスレフ




    

さて製作であるが、どのような形にするか?

コンテストなので通常の四角い箱ではピンと来ない。

色々考えているうちに、某ジャズ喫茶のマスターが使っている「アバンギャルド」の噂を聞いた。

この「アバンギャルド」はホーンが黄色らしい。

「アバンギャルド」にはその他にも、けっこう鮮明な色がある。

そこで今回のスピーカーは、本体は黒、ホーンは黄色、バッフルは赤とすることにした。

それと実験の意味も込めてショートホーンを今までよりかなり大きくしてみた。

大きくなると、ホーン鳴きが多くなるのか、それとも低域の能率が上がるのか、、、、、、

低域のレンジも確保するため、今回はフィフスバスレフとした。


本体は上段の5分の1が主空気室、下段の5分の4を縦に4等分して副空気室を4つ確保した。

主空気室は4.2リットル、副空気室は各3.2リットル、共振周波数は実験的試みとして、中のダクトが150Hz・95Hz・60Hz・44Hz,外側のダクトが120Hz・75Hz・50Hz・38Hとなっている。

周波数は40Hz位まで音圧を確保すると、クラシックを含めたいていの音楽が聴ける。


ホーンは本体と別に作成し、入念に黄色に塗装し、最後に本体と結合させた。

バッフルは赤の布張りである。

布は「ユザワヤ」で探したが、真っ赤という物はなかった。

若干地模様が入っているが、良い感じになった。

ちなみに、布はある程度厚みがあり、ストレッチ性がるものが使いやすい。

私はもう20年以上バッフルは布張りであるが、バッフルからの余計な複写が少なくなり、音の品位が上がる。

布を貼るのに、最初はボンドやブチルテープなどを使っていたが、最近はほとんど両面テープである。

音はブチルテープの方が若干良い感じがするが、いかんせん、手がブチルだらけになり始末が悪い。


さて音の方はどうか?

今まで作った8センチユニットのマルチバスレフと比べると、少しだけスピード感が劣り、低域がゆったりする。

その代わり、量感はかなり出る。

このユニットはかなりマルチバスレフに合っていると言えるだろう。


ネーミングは「アバンギャルド」にちなんで「***ギャル」とか洒落た名前にしようと思ったが、遊びに来た友人が「工事現場で使うショベルローダーに似てるよね、特に前のバケットのところが、、、」と言い放った。

う、う、う、、、言い得て妙、、、

ということで、「ショベルローダー(アバンギャルド風)」となった。














以上の通り応募した。

参加することに意義があるということではないが、審査基準も曖昧で、全く自信はない。

まあ、このホームページに載せるネタが出来たということで良しとしよう。